よく寝たのに疲れが取れない、常に不安感がある、恐怖心に襲われることがある、苦しい、毎日そんなふうにつらい気持ちで過ごしていますか。
ちょっと前までは、朝起きて元気に会社に通勤し、週末は家族や友人と外で遊んだりできていたはずなのに。どうしてこんな風になってしまったのか。
うつ病は治らない病気ではありません。うつ病になる根底要因を見つけ、対処することで必ず日常の生活を取り戻すことができます。悩んでいる方の手助けになればと思います。
目次
①自分は本当にうつ病なの?と心配なあなたへ
うつ病と言っても、実際にはうつ病かもしれない!と不安になることがきっかけで本当にうつ病になるケースがあります。ここでは、うつ病とうつ状態の違いについてみていきます。
1-1:うつ状態とうつ病の違い
日常生活を過ごしているなかで、人は誰でも楽しくない場面、悲しい場面に遭遇し、悩んでしまったり、気分が落ち込むことがあります。
それは学校生活においてだったり、勉強のことだったり、会社であったり、育児の事であったり、現在あなたを取り巻く環境、人間関係からくるもの。
また、過去あなたに起こった事を忘れられず元気になれない、未来の自分を憂えて悩む方もあるかもしれません。
しかしほとんどの場合、何かほかに楽しいことがあれば気が紛れたり、時の経過とともに落ち込んだ気持ちが消化されたりと、自然と気持ちが持ち直してくるものです。
あなたが、このような、「一時的」で「日常生活に支障を来さない程度の気分の落ち込み」であるのなら、「一時的なうつ状態」であり「うつ病」ではありません。
うつ病と診断される「うつ状態」がどのようなものかと言うと、何かをする意欲、物ごとへの関心が失せて何もやる気がない状態が一日中ずっと、ほとんど毎日、2週間以上続いてしまう状態をいいます。
あなたが、一日中、無気力・無関心な日々を2週間以上過ごしているのならば、うつ病を疑ってみてもよいでしょう。
症状は精神的にでるだけではなく、「食べられない」「眠れない」など身体的な症状もともないます。そのため、症状が進行すると日常生活に大きな支障を来すようになります。参考:みんなのメンタルヘルス
1-2:うつ病になりやすいタイプ
うつ病になりやすいタイプとそうではないタイプがあります。今回はうつ病にたりやすい人の性質についてお伝えをします。
● 責任感が強い
● 人のことばに一喜一憂しやすい
● 生真面目で何事も一生懸命にやる
● 完璧主義で手を抜くことができない
● 人に助けを求める、甘えるのが苦手
● 社交的で明るい人と思われているが、実は寂しがり屋である
ひとつでも当てはまる方は、繊細な傾向がありますので意識的にリラックスできる時間を作ってみてください。
②うつ病の症状を具体的に紹介
では、具体的なうつ病の症状を確認してみましょう。うつ病の症状には、精神的なものと身体的なものの2つに分けることができます。それぞれのうつ病の特徴がありますので、まずはどんな症状がおきるのかをお伝えします。
2-1:うつ病の精神的な症状
● 何があったわけでもないが気分が落ち込む
● 何かをする気になれない(意欲低下)
● ぼんやりしてばかりいる
● 何かに興味・関心を持って考えられない(無関心)
● 口数が少なくなる
● 色々な物事がつらく悲しいことと思える(悲観的に考える)
● 不安・焦り・イライラ感がある
● 喜び、楽しみが感じられない
● 集中できない、仕事でミスが増える
● 外見や服装を気にしなくなる
● お酒を飲む量が増える
2-2:うつ病の身体的な症状
● 生理不順
● 頭痛、肩こり、腰痛
● 耳鳴り、めまい、動悸
● 性欲減退、勃起不全
● 食べられない(食欲不振)
●もしくは食べすぎる(過食)
● 腹痛、胃の不快感、下痢、便秘
● 食べ物の味が違って感じる(味覚障害)
うつ病というと、精神的な症状が一般的な症状と知られており、身体的な症状が出ることはあまり知られていないかもしれません。
ですが、人によっては精神的な症状が自覚されていないで、身体的な症状だけ出るパターンも珍しくありません。
身体的症状があり、内科・整形外科等受診して原因が分からないような場合は、うつ病の可能性を考えてみてもよいかもしれません。
参考:うつ病を知る厚生労働省
③うつ病になる原因は脳ではなく、環境や性質が関わっている
うつ病は脳の病気である。だからそれをコントロールするための薬が重要であるというのが、従来の日本の精神医療のあり方だと思います。
しかし、実際はどうなのでしょうか?当社でも多くのクライアントからうつ病のご相談をいただきます。
正直なことをお伝えすると、8割以上の方が適切なケアをすることで回復しています。その経験も踏まえて、独自の視点からうつ病についてお話しをします。
3-1:うつ病の原因は脳の神経によるもの?
うつ病が発症する原因はまだ明らかになっていません。有力な仮説では、脳の中にある神経伝達物質のバランスが崩れたことが関連していると考えられています。
神経伝達物質には、いくつかの種類があるのですが数が減ってバランスが崩れると、情報を伝達しあい複雑な統制を行っている神経細胞もうまく働かなくなります。
その結果、感情をコントロールすることができなくなってしまうのです。
しかしながら、このような脳にある私たちの感情をコントロールする機能がうまく働かない状態だからといって、必ずうつ病を発症するわけではありません。
3-2:うつ病の原因にはもともとの性質も関係している
もともとの性格(真面目・完璧主義・責任感が強い)や生育環境(虐待や親との死別等)があり、ストレス(学校生活・職場・人間関係・過労・病気・ケガなど)が発症のきっかけになると考えられています。
脳にある感情コントロールする機能の働きの問題が発症の要因ではないとすると、それらを対処する投薬のみでの治療は、万全な治療ではないと思われます。
弊社では、もともとの性格・生育環境・ストレスにうつ病が発症する根底要因があると考えており、催眠療法を含むあらゆる心理療法を利用しています。
生まれ育ってきた環境がどうであるか(どうであったか)、認知のゆがみがあるか、トラウマはあるかをみていき対処法を考えます。
心理療法やカウンセリングを実施していくなかで、心の奥で要因となっていた傷を癒し、物事の捉え方や生活習慣を整えることができます。
④うつ病の検査・診断はどのようにするの?
うつ病の検査や診断をどのようにするのでしょうか?チャックシートに合わせて自分に当てはまるところがないのかかをチェックしてみましょう。
下記の症状のうち、●マークの症状を含む5つ以上の症状が、ほぼ毎日2週間以上続いている場合に「うつ病」と診断されます。(注1)
●疲れやすい、やる気が出ない
●一日中気分が落ち込んでいる
●食欲がなく、体重の減少が著しい
●食欲がとてもあり、体重が短期間に増加した
●喋っている時に口が動きにくい、動作が鈍い
●イライラしたり、落ち着きがなくなったりする
●集中力が低下して、物事を考えて判断できない
●眠れない、もしくはずっと横になって眠ってしまう
●一日中何に対する興味もわかず、喜びを感じられない
●自分に価値がないと感じる、自分を責める気持ちになる
●身体を傷つけたり、死ぬことを考えたり、計画を立てている
注1:アメリカ精神医学会による「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」に基づいた診断基準
⑤うつ病と併発しやすい病気
心と体に色々な症状が出るうつ病は、ほかの病気を引き起こしやすくなります。
ここでは代表的な併発しやすい病気を述べます。
5-1: 不眠症
眠ることができない、夜中に起きてしまう、よく寝られない、などの症状があります。不眠症はうつ病が要因で発症することもありますし、逆に、不眠症がうつ病の発症きっかけとなることもあります。
不眠症については、不眠症の原因を見つける!不眠解消を行うための具体的な方法をご覧ください。
5-2:不安障害(パニック障害)
どきどきして気持ちが落ち着かない、不安、緊張などの感情が特に原因が思い当たらないのに起きる状態になっている。それが病的な不安です。
それが突発的に起こることが繰り返されることをパニック発作といいます。これはパニック障害の典型的な不安症状です。吐き気やめまい、ふらつきなど、漠然とした体調不良に悩まされることもあります。
不安障害については、不安障害とは?具体的な症状と改善方法を紹介の記事にまとめていますので、気になる方は読んでみてください。
⑥うつ病を治療するための4つの具体的な方法
うつ病になると情緒が不安定になたり、急に何もする気が起きない時もありますよね。そこで、少しでも辛い状況から抜け出すことができる4つの方法をお伝えします。
6-1 :たっぷり休息をとる
意識的に心と体を休ませるようにしましょう。まずは休むことです。この休むとは1日、布団の中で過ごすことではありません。
美味しいものを食べたり、おはなの香りを楽しんだり、できるのなら外に出かけてみたり。自分の好きなことをして過ごすことも心の休息になります。
6-2:安心できる環境調整をする
自分を取りまく環境により、十分に睡眠時間が取れていないと感じる方は、職場や学校、家庭など周りの人に助けを求めて、自分が十分に休養を取れるようにしましょう。
休養を取る時間があっても、ストレスを感じて休まらない場合は、ストレスの要因を取り除くようにすることが必要です。
(例1)
責任感のある仕事を任されており、そのことが気になり夜に眠れない→職場の上司に相談し、配置転換をお願いしましょう。
(例2)
育児や介護をしており休養を規則的にとれていない→規則的に休めるよう家族に協力を求めましょう。家族を頼れない場合は行政サービスなどを定期的に利用して、自分を休ませる時間を取りましょう。
6-3:必要であれば、うつ病用の薬物療法を行う
うつ病のお薬の代表的なもので、抗うつ薬があります。抗うつ薬は、うつ病の原因と考えられている脳の神経伝達物質のバランスの乱れに作用します。
心に元気をくれたり、エネルギーが湧いてくるようにします。
その他にも、不安感を消してくれる抗不安薬、眠れるようになる睡眠導入剤、非定型抗精神病薬などがあります。
この非定型抗精神病薬の効果を簡単にお伝えしますと、感情の上げ下げを落ち着かせる、何も考えられない状態、無気力になるなどとされております。
これらの薬物療法では、一時的な症状の改善がみられますが、うつ病の根底要因である心の傷を癒やし、物事の捉え方を変えていきます。他にも、生活環境を整えることも同時に行うことが大切です。
そうしないと、服薬をやめた際にまた発症するリスクが高く、服薬がやめられないような状態になることもあります。
また、お薬の飲みはじめや増やした時、長く飲んでいたお薬を中断した際に、重大な副作用が起こる可能性があります。
服薬は、医師の指示に従って、規則正しく飲み、自己の判断で中断しないようにしましょう。副作用があった場合は、速やかに医師に相談しましょう。
6-4:うつ病の原因を癒すカウンセリング
うつ病の原因となったストレスを振り返り、対処法を学びます。再発を防ぎ、良い状態を保つことができるようになります。
弊社のカウンセリングでは4つのステップでうつ病の心のケアをしていきます。
1:自分を知り・受け止める
自分自身の辛さやこれまで抱えてきた苦しさを全て吐き出すことで、心を軽くしていきます。
もしも、自分の過去に触れることで苦痛を感じたり、自分のことをあまり話したくない場合は、無理をしなくても大丈夫です。おひとり、おひとりに最適なカウンセリングの方法がございますので、ご相談ください。
2:環境を改善する
ストレスとなっている原因が今の環境にあるなら、その環境を改善します。他にも、食生活だったり、親との関係もあるかと思います。必要でしたらご家族の間にたち、家族療法を行うことで穏やかな生活環境を整えれるように心理士が対応をいたします。
3:ストレスマネジメント
ストレスとなることがあったときにもダメージを受けないよう対処法を考えると同時に、自分に自信がもてるように強いメンタルを育みます。そうすることで、これまでは、辛いことがある→他の辛いことも連鎖してしまう→自己嫌悪となっていたサイクルを変えることができます。
具体的には、辛いことがある→意識をずらす→嫌なことをすぐに断ち切る力を持つ。このようにすることで、ストレスを溜めない体質へと変化できます。
4:コミュニケーション能力をあげる
ストレスコントロールが上手にできるようになったら、今度はコミュニケーション能力を向上するトレーニングがおすすめです。なぜなら、うつ病の多くの悩みは人間関係にある場合が多いです。
人に対しての意見の言い方、捉え方、自己表現の方法を学ぶことで、仕事や恋愛も円滑になるようなスキルを身につけることで、生きづらさを解消できます。
⑦うつ病と診断されてから回復までのステップ
うつ病と診断されたけれど、どうやってうつ病から回復したら良いのだろうか…
うつ病は本当に治るのか不安になる。そのように感じることはありませんか?
7-1:急性期(診断~3か月程度)
診断をし、十分な休養をとり、環境を整えながら、適切な薬物治療をおこなうことで、1~3カ月ほどで症状がよくなっていくことが一般的です。
既存の精神医療では、ペットロスや解雇で心が苦しい時も病院に行けばうつ病と診断をされます。
そして薬が自動的に出されるケースが非常に多いです。すでにイギリスでは、軽度のうつ病は薬1錠と認知療法で十分な効果が見込めると政府が発表をしています。
そう考えると、もしかしてうつ病なのかもしれない!と思った時は直ぐに心療内科や精神科にいかずにカウンセリングを受けることをおすすめします。
実際に弊社でも、1回の心理カウンセリングにより改善をした方も数多くいます。(認知行動療法、催眠療法と弁証法的行動療法を利用)
そうすることで、本来ならば生命保険の加入が難しくなったり、薬により感情が平坦になることで、自己嫌悪になることを防ぐこともできるようになります。
7-2:回復期(治療4~6カ月以上)
調子が良い日と悪い日があり、状態が上下する時期です。一進一退を繰り返しながら、徐々に改善していきます。
調子が良い日が続いたからといって、治ったと無理な行動をしたり、治療をやめてしまったりすると、症状が戻り、回復に時間がかかってしまうことがあるため、慎重に治療を進めましょう。
職場復帰や学校生活の再開など、もとの社会生活に戻るタイミングを考えるには早い時期です。無理のない外出など、昼間の活動量を増やしながら、生活環境を整えていきましょう。
また、うつ病となった原因を振り返ってみて、再発を防ぐためにどうしたらよいのか、カウンセラーと話し合ってうことも大切です。
物事の捉え方を変えてみたり、辛い時にはどうしたら良いのか、失敗をした時はどんな捉え方をしたらいいのか?など先にカウンセラーと相談をすることで少しずつ心の中にあった傷から回復することができるようになります。
7-3:再発予防期(治療1~2年)
症状が安定して社会生活に戻ることができるようになる時期です。
ですが、うつ病は再発しやすいといわれておりますので、油断をしないように、再発予防を意識しながら、良い状態を保つことができるように生活しましょう。
薬物治療の継続についても医師の判断に従いましょう。勝手に服薬を止めてしまうことは、再発リスクもありますので十分に注意をしてください。
うつ病となった原因を振り返り、調子が悪くなる際にみられる症状(サイン)を見落とさないように注意することも大切です。
再発のサインを家族や周囲の人にも共有して、サインが見られた際には、休息をとるように注意してもらえるようにしておきましょう。
参考:こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
⑧うつ病が長期化することのリスク
うつ病の治療をしているのに改善しないケースが非常に多いです。原因としては、うつ病の薬があっていないか、根底の問題を解決せずに、薬で気持ちを押し付けてしまうことなど多岐に渡ります。
この状況が続くことによりますます状況は悪化する一方です。実際によくあるケースをご紹介します。
●最悪の場合、突然死することもある
● 薬の服用量が多くなり、副作用が起きやすくなる
● 症状が悪化し、精神科への入院を余儀なくされる
全ての方に起こるわけではありません。しかし、あなたの大切な人生の時間をうつ病で終わることは非常にもったいないことだと思いませんか。
誰でも可能性を秘めています。長期でうつ病になってしまったとしても、心のケアをすれば少しずつ改善していきます。どうせうつ病は治らないと決めつける前にぜひ相談をしてください。
⑨うつ病が治りにくいケース
早くうつ病を治したいのになかなか状況は改善しない、もどかしい気持ちになることも多いかと思います。
ここの文章では、うつ病を素早く抜け出すためのコツをご紹介します。日常からぜひ意識をして取り入れてみてください。
● 家族や周囲に理解してくれる人がいない
あなたがつらい状態であることを理解してもらえないと、休息が必要な時に休息が取れない状態となります。
● 十分な休息が取れていない
十分な休息が取れていないと、回復するどころか悪化します。良くなった時に無理しないようにしましょう。悪化してしまうと、ほかの病気を引きおこす要因にもなります。
● 根底の問題を放置している
うつ病が発症した根底の要因が心にあることに気がついていないかもしれません。
● 物事の捉え方を変えられない
ストレスマネジメントができていない。物事からダメージを受けないように心をコントロールする方法を身につける必要があります。
このようなことがひとつでも当てはまると、うつ病を長引かせてしまうかもしれません。苦しい気持ち、悲しい気持ち、情緒不安定など、うつ病は非常に厄介なもの。
いち早くうつ病を抜け出すためにも先ほどお伝えした4つのこを参考にしてみてください。
この後に、うつ病の治し方についても触れていきます。ぜひ読んでいただけると、うつ病までの回復ステップを知ることができます。
⑩うつ病の具体的な症状と改善策のまとめ
うつ病の治療に必要なのは、まずは心と体を休ませることです。じっくり休める環境がつくられるよう、周りに協力をあおいでください。
うつ病を発症する方は、もともと真面目で責任感が強く、人に甘えたり助けを求めることが苦手な方が多いです。自分自身の性格を理解し、客観的にみて無理をしすぎていないか確認してみてください。
休息をとれる環境が整備できたら、うつ病を発症した要因・きっかけを振り返ってみてください。根本的な要因を見つけることで、自分について深く知り、ストレスマネジメントができるようになります。
整った生活環境に身をおくとストレスマネジメントができるようになります。そして終始心が安定をして、本来のあなたのよさを再び実感できるようになります。
次の記事でうつ病を改善するための具体的な方法をまとめました。うつ病を改善したい方は、今すぐにできるうつ病改善方法、ひどくなる前に改善しようをご覧ください。
公認心理師:吉田澄中央
ライフファクトリー東京代表。国家資格である公認心理師と産業カウンセラーの資格も保有。催眠療法の講師でもある。「改善するカウンセリング」の実現のために、今まで1万回を超える相談と向き合う。本気で相談者と向き合いアドバイスをするため弊社でも人気NO1