「いつも自分に自信が持てない」「誰かと比較をして落ち込んでしまう」「つい周囲が期待するような自分を演じてしまう」こんなことで悩んでいませんか。もしかしたら、それは「アダルトチルドレン」かもしれません。
アダルトチルドレンを抱えていると、お仕事や恋愛で何らかのハードルを抱えてしまうことがとても多いです。今回は、そんなお悩みを少しでも解決できるようにアダルトチルドレンの原因や特徴をお伝えします。
目次
①アダルトチルドレンとは、幼少期の傷が大人になっても響いていること
アダルトチルドレンとは、子どもの頃に虐待など精神的、肉体的に傷つけられる経験をしたことで、大人になってもその時の影響が残っていることを言います。
ただ、アダルトチルドレン=精神疾患ではなくあくまでも「状況に対する名前」 です。
ACという言葉は、伝統的な精神医学や心理学の枠組みでの診断名ではありませんが、自分の育ってきた環境、親や家族との関係を振り返って自分自身を理解するための、1つのキーワードとしてとらえることができます。
参考:アダルト・チルドレンとはなに?
アダルトチルドレンそのもは、心の病ではないので安心してください。しかし、自分はアダルトチルドレンかもしれない!と不安になることもありますよね。次の章でアダルトチルドレンの特徴について紹介をしますので、いくつ当てはまることがあるのかを見ていきましょう。
②アダルトチルドレンの14の特徴があなたは当てはまる?
アダルトチルドレンにはどのような特徴があるのでしょうか。以下の項目に当てはまるものがあるか、あなたもチェックしてみてくださいね。
・自分に自信がない
・被害妄想が強い
・完璧主義である
・物事を楽しめない
・常に孤独を感じる
・環境の変化が苦手
・素直に甘えられない
・人と接するのが怖い
・つい人に依存してしまう
・感情を抑えこんでしまう
・常に誰かと一緒にいないと不安
・他人から認められたい気持ちが強い
・人の顔色ばかりうかがってしまう
・人から頼まれたことにNOと言えない
あなたは、いくつ当てはまりましたか? 3つ以上当てはまったという方は、もしかしたらアダルトチルドレンの可能性があります。
参考:斉藤学著『アダルト・チルドレンと家族―心のなかの子どもを癒す』(学陽書房 1996/4/1) P.96~105
しかし、心配になることも不安になる必要はありません。なぜなら、アダルトチルドレンから抜け出して、自分らしく生きるためには、「自分のことを知る」ことで心の痛みを軽減させることができるようになるからです。 まずは、気づくことができたあなた自身をたくさん褒めてあげてください。
さて、もう少し詳しくアダルトチルドレンについて深掘りをしていきましょう。
③アダルトチルドレンが抱えやすい3つの悩み
アダルトチルドレンで悩んでいる人は、劣等感で悩んでいたり、人間関係の悩みを抱えていることが多いです。 実際にカウンセリングを行なっている私たちも同じ悩みをよく聞きます。具体的にどのようなことで悩むのかを読み進めてみましょう。
3-1:アダルトチルドレンは、自己肯定感が低く、自信が持てない
自己肯定感とは、自分の存在を肯定的に受け止められる感覚のことを言います。自己肯定感が低いと、自分に自信が持てなくなります。
そのため、何かをチャレンジする前に「どうせ無理」とあきらめてしまったり、たとえチャレンジしたとしても失敗してしまうと、「また失敗したらどうしよう」と一度失敗をしたことが頭から離れなくなったりします。
3-2:アダルトチルドレンは、人間関係が苦手
アダルトチルドレンは、コミュニケーションをうまく取れない ことが多くあり、その結果、トラブルも起こりやすくなってしまいます。
例えば、人に何かを頼むときの頼み方が分からなかったり、率直に何でも言いすぎてしまったりします。また、人との距離感がうまくつかめないということも多いです。その結果、周囲の人からの印象が悪くなり、結果的に孤立してしまうこともあります。
3-3:アダルトチルドレンは、感情を押し殺してしまう
アダルトチルドレンは、日頃から自分自身の感情を押し殺してしまいがちです。また、ストレス解消法がない場合は、限界まで感情を無視し続ける こともしばしばです。
そのため、なんらかの拍子で怒りや悲しみが爆発してしまうことがあります。そして、爆発したあとは、自分のことを責めてしまうという悪循環に陥ります。周りの人からは、いきなり「キレた」、または「泣いた」ようにしか見えないため、誤解を招きやすくなります。
アダルトチルドレンは、小さい頃に深く傷つく経験をしてきたにも関わらず、それに本人が気付いておらず、成人していることもしばしばあります。また、自覚していたとしても、そのつらい過去を自分でも意識しないうちに封印してしまっていることもあります。
④アダルトチルドレンの原因は幼少期の環境
アダルトチルドレンの原因はどこにあるのでしょうか。今の段階では、アダルトチルドレンは子どもの時の環境に原因があると考えられています。
例えば、
・子どもの頃、虐待されていた
・人と比較されて育った
・過保護に育てられた
・親が忙しくて甘えられなかった
・親の愚痴ばかり聞いていた
・親に傷つく言葉ばかり言われてきた
・親のアドバイス通りに動いてきた
などの環境で育ってきた場合、アダルトチルドレンになりやすくなります。アダルトチルドレンは、子どもの頃の「寂しい」「悲しい」「誰も自分をわかってくれない」といった思いが大人になっても残っている状態 です。
アダルトチルドレンが育つ家庭環境では、自尊感情(自分自身を肯定的に感じること)を育む場がなくなっている場合が多くあります。 他にも、親が何かしらの問題を抱えていて、それが子どもにも影響してしまっていると考えられます。
また、親が問題を抱えている家庭で育った子どもは、それを「問題」としては自覚していなくても、何らかの「異変」を敏感に感じ取り、気を遣った行動を取ることが多くなります。
よくあるアダルトチルドレンの例
例えば、親の愚痴を丁寧に聞いたり、親の代わりに兄弟の面倒を見たりなど、親が喜んだり、期待したりするような行動を取って、次第に「よい子」として振る舞うようになります。
その背景には、「よい子でないと捨てられる」という不安や「もっと認められたい・ほめられたい」 という欲求があります。そのような行動パターンが身についてくると、だんだんと自分の感情がうまく表現できなくなっていったり、感情を押し殺すようになってしまったりします。
一般的に、アダルトチルドレンとしての影響があらわれてくるのは思春期以降だと考えられています。また、成人したあとの、20代半ばにさしかかってからは、さらにはっきりとその症状が出てくるようです。
そうなると、自身の感情や思考、行動に影響が出てきたり、対人関係に支障をきたしたりするようになります。その結果、自分の生きる意味を見失ってしまうこともあるのです。
⑤アダルトチルドレンは心の病になりやすい?
アダルトチルドレンは、医学的な用語ではないものの、大人になってから心の病を引き起こす可能性があります。弊社では、心の病と診断をされ方のカウンセリングも行なっていますが、根本の原因は幼少期の頃の傷 である場合はとても多いです。
アダルトチルドレンを抱えている方が100%心の病になるということではないのですが幼少期の傷を抱えて大人になった方の多くは、人間関係等で悩むことも多く、心の病になりやすい傾向があります。実際にアダルトチルドレンが関わっている心の病には、以下のようなものが挙げられます。
5-1:不安障害
過剰なストレスや疲労などが引き金となり、心身に起こる様々な症状のことを言います。強い恐怖感や不安感を伴うこと が多くあります。<
誰でも不安は抱えるものですが、その不安感が過度に高まることで日常生活に支障をきたすまでの症状が起こります。不安障害の症状や原因については、「不安障害とは?」で説明をしていますので、読んでみてください。
参考;厚生労働省 不安障害
5-2:摂食障害
極端な食事制限や過度の食事の摂取により、健康に様々な問題が引き起こされます。自分を太っていると思い込み、食事を摂りたがらず、どんどん痩せる「拒食症」 があります。他にも、食べることをやめられなくなり、一度に大量のものを食べる行為を繰り返す「過食症」 があります。
参考:みんなのメンタルヘルス 摂食障害 厚生労働省
5-3:アルコール依存症
長期にわたる飲酒の習慣によって、お酒を断つと禁断症状を起こし、飲酒をやめようとしてもやめられなくなる状態のことを言います。
アルコール依存症を改善するためには、催眠療法や心理療法が長期に渡り必要 になるケースも多いので早めの対策が必要です。
参考:e-ヘルスネット アルコール依存症 厚生労働省
5-4:心的外傷後ストレス障害( PTSD)
過去のトラウマがよみがえり、様々な障害が起こります。過去の出来事に関連した悪夢を繰り返し見る こともあります。
特に、虐待をされて育った場合によくみられる症状や状況です。トラウマの具体的な原因や改善方法については、「トラウマの原因と具体的な症状」で説明をしていますので、もしもトラウマで悩んでいる場合は、読んでみてくださいね。
5-5:アダルトチルドレンのその他のリスク
またそれ以外のリスクとして、
・自己肯定感が低くい
・日々が生きづらい
・感情の起伏が激しい
・感情のコントロールが難しい
・引きこもりの危険性
・自殺や自傷の危険性
などが考えられます。
アダルトチルドレンは、自身の親との関係性の中で悩み、時にトラウマを抱えています。もし、自身が「傷ついている」と自覚できれば、「自分は親のようにはならない」という考えに行き着くことができます。
しかし、依存症やドメスティックバイオレンス(家庭内暴力)の場合は、家系内で繰り返されることが多いという研究結果も出ています。
⑥アダルトチルドレンを乗り越える3つのメリット
アダルトチルドレンを乗り越えることができると、他者の言葉で一喜一憂することもなければ、いつも人と比較をして落ち込むこともなくなります。
そうすることで、本来のあなたの良さを社会で発揮できるようになります。具体的にどんな素敵な未来が待っているのか、代表的な例を3つご紹介します。
6-1:感情に縛られなくなり、ストレスが減る
アダルトチルドレンは、「誰にも理解されない 」と苦しい思いを抱えていることも多いです。
アダルトチルドレンを克服すると、モヤモヤした気持ちがなくなります。心身も軽くなり、ネガティブな感情も適度に流すことができるようになります。また、ストレスが減ることで、感じていた不調や疾患などが軽減されていきます 。
6-2:自分の軸ができ、自信を持つことができる
自己肯定感が上がり、「私はわたし」と自信を持つことができます。誰かと比較をし、劣等感を抱いたり、苦しくなったりすることから卒業できます。
それだけでなく、周囲の人からの言葉で落ち込むことや、「もしかしたら嫌われているかもしれない」と心配になる気持ちから解放されます。
6-3:人間関係で悩まなくなる
アダルトチルドレンを克服すると、過去へのこだわりや常に感じていた寂しさが和らいでいきます。そうなると、これまで許せなかった相手の行動までもが許せるようになります。
また、怒りや悲しみから解放されるので、感情のコントロールもしやすくなり、素直な気持ちで人と接することができるようになります。
その結果、以下のことができるようになります。
・周囲に対して思いやりが持てるようになる
・自分に自信を持てるようになる
・人とのコミュニケーションが楽しくなる
・他人の言葉に振り回されなくなる
・感情に左右されず発言できるようになる
・コミュニケーションスキルが高くなる
⑦アダルトチルドレンを克服するために大切なこと
では、このような明るい未来を実現させるためには、どのようにしてアダルトチルドレンを克服すれば良いのでしょうか?
アダルトチルドレンが感じる症状は様々です。もしかして、アダルトチルドレンかもしれない…と思ったら、まずは、ご自身にあらわれている症状を見極めることが大切です。
しかし、症状があらわれているからといって安易にご自身で判断するのは危険です。自身の症状に合った専門医に見せたり、心理カウンセラーに相談したりするなど専門家のアドバイスを受けることがおすすめです。
他にも、何らかの障害を抱えた者同士がお互いに励ましあいながら、その障害を克服していく自助グループなどに参加するのも一つの方法です。
自助活動は、全都道府県で行われており、アダルトチルドレンの自助グループや支援団体もありますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
⑧アダルトチルドレンは誰でも克服することができる
今回は、アダルトチルドレンについてご紹介しました。現代では、アダルトチルドレンはたくさんいると考えられています。
そしてその中の多くは、人とのコミュニケーションが苦手だったり、完璧を求めてしまったりと何らかのストレスを抱えています。
アダルトチルドレンは、幼い頃に家族に甘えることができなかったり、自分の意見を言ってはいけないと思ってきたりした方に多くみられます。
通常の社会生活を送れないというほどの症状が出ることは少ないので、苦しみや悲しみを抱えながらも懸命に日々を過ごしているという方もきっと多いのではないかと思います。
ただ、そのままその状態を放っておくと、精神疾患やそれ以外の様々なリスクが生まれる可能性があります。
また、たとえ精神疾患を引き起こさなくてもアダルトチルドレンを放置することによって心の傷がますます深くなっていく場合もあります。
その場合、改善するのにも時間がかかってしまいます。ですので、アダルトチルドレンかもしれない…とお悩みの方は、今、自分がどんな状態に置かれていて、どんな症状が出ているのかを、まずはご自身で理解することが大切です。それが回復への一歩となります。
その上で、心理カウンセリングを受けたり、グループに参加したりすることで、今の苦しみや悲しみはきっと消えていくはずです。
どうかくれぐれも無理なさらず、早めにカウンセラーなどに相談するようにしてくださいね。もっと詳しく、アダルトチルドレンの悩みを克服したい方は、「アダルトチルドレンを改善するための具体的な6つのステップ」を読んでみてください。
公認心理師:吉田澄中央
ライフファクトリー東京代表。国家資格である公認心理師と産業カウンセラーの資格も保有。催眠療法の講師でもある。「改善するカウンセリング」の実現のために、今まで1万回を超える相談と向き合う。本気で相談者と向き合いアドバイスをするため弊社でも人気NO1