認知行動療法って聞いたことがあるけれど、どんなことをするんだろう?
認知の歪みを訂正するらしいけれど自分を全否定されそうで怖い。
でも効果はあるのかな?と思ったことはありませんか?
私も最初名前を聞いた時はどんな怖いことをするんだろうと勝手に想像を膨らませていました。
もしかすると、私と同じように認知行動療法がどのようなものなのか分からず二の足を踏んでいる人もいるかもしれない!と思い、今回「認知行動療法」について詳しく説明をすることにしました。
認知行動療法は、自分のダメなところを修正するというよりは、どんな時も冷静に、的確に行動できるようにするための方法 なんですよね。
経営者も、フリーランスの方も問題を解決するために、この認知行動療法を利用をして更に豊かな人生になる為の行動をしています。きっと、この文章を最後まで読めばあなたも認知行動療法に対する見方が180度変わりますよ。
目次
①認知とは自分の受け取り方
そもそも認知とはなんだろう?と思うかもしれないのでちょっとだけ説明をさせてください。
認知行動療法は、ある状況に出くわした時に、私たちが持つ感情と行動が、その状況をどうとらえるか(認知)によって影響を受けることに着目します。
参考:厚生労働省認知行動療法
何だか難しい気がしますよね…。シンプルな言葉で表現をすると認知とは、「自分自身の受け取り方や感じ方」 です。
例えば「今あの人が怒っている」「喜んでいるな」「楽しんでいるな」と感じ取ることも認知のひとつです。私たちは日常のあらゆる場面で、この認知を利用して物事の判断をしています。
②認知の歪みが原因で心が辛くなるの?
認知の歪みとは「思い込み」というと分かりやすいと思います。この認知の歪みという言葉を聞いてもなかなかピン!とこないですよね。そこで、これからお伝えすることを想像してください。
あなたの仲良しのAさんが会社にいるとします。 いつもは、あなたが「おはよう」と挨拶をすると笑顔で返してくれます。しかし、今日は「おはよう」と挨拶をしても無視をされてしまいました。
この時にあなたが「無視された!嫌われた!どうしよう…。」と感じたとします。でも少し離れてこの状況を見てみると、もしかすると相手は他ごとを考えていただけかもしれないですし、聞こえていなかっただけかもしれません。
このように、「自分の感じたこと(感情)=事実」 と認識をしてしまうことを認知の歪みと言います。この物事の受け取り方は、「自分だけの視線で物事を決めてしまう」ことにより、コミュニケーションのトラブルが生じやすくなります。
他にも、認知の歪みがあると感じてしまう感情には、下記のケースがあります。
1:自分には価値がないと思ってしまう
2:いつも他の人と比較をして、自分に劣等感を感じてしまう
3:相手の状況を考えずに、行動をしてしまい自己嫌悪になる
というお悩みを抱えやすくなってしまいます。このようなお悩みを解決するためにも、認知行動療法を受けることが大切です 。次の章では、認知行動療法の実際に方法についてご紹介をします。
③認知行動療法とは第三者の目線でみること
認知行動療法とは、自分のことを受け止めてあげること です。この受け止めるということは、良いところも改善をした方が良いところもまずは受け入れてあげることです。そして、少しずつ自分の状況を客観的に分析できるようにするトレーニングをしていきます。
例えば、あなたは今自己肯定感がなくて苦しい思いをしているとします。「自分は何をしてもダメだ。」「いいなぁあの子はなんでもできて…」と感じているとします。しかし、他の人から見たら、あなた自身も人から「凄いな」「いいなぁ」と思われていることもあると思います。
自分のみている世界は常に絶対ではなく、見える角度が変化することにより物事を柔軟に捉えることができるようになる のが、認知行動療法を受けるメリットとも言えます。
④認知行動療法で自分のことを受け入れてあげよう
認知行動療法は、自分のことを受け入れてあげよう!と思った時に効果があります。
例えば、悲しくて、苦しくてたまらない時に、「冷静になれ!」と言われてもそう簡単にできませんよね。私もそうですが、いっぱいいっぱいで日々生きることが精一杯だ!となった時があります。
ですから、認知行動療法を行う前に「心のモヤモヤを吐き出す」ことが大切です。まずは心をスッキリとさせた後に、自分の考えていることを他者と照らし合わせると、認知行動療法の効果を発揮することができます。
自分のことを愛してあげよう、受け入れてあげようと思った時に認知行動療法を受けてみてください。
⑤認知行動療法で解決できること
認知行動療法では、どんなことができるのでしょうか?認知行動療法が効果的な状況を箇条書きにしてお伝えします。
・自信がない
・不安で動けない
・自己肯定感が低い
・トラウマが辛い
・対人関係のトラブルがある
・感情的に行動しなくなる
・自分の感情と事実の認識が出るようになる
・幻聴、幻覚が聞こえる
他にもいろいろな状況に、認知行動療法は利用することができます。特に精神疾患でも有効とされています。国でも認知行動療法はとても有効な方法だと言われています。
近年、様々な心の病に対して、薬物療法だけではなく心理療法(精神療法)の有効性が、信頼すべき医学研究により立証されつつあります。中でも認知行動療法(認知療法)は、うつ病、パニック障害、強迫性障害、統合失調症に対する治療効果が、繰り返し確認されています。
参考:厚生労働省 認知行動療法 e-ヘルスネット
この、認知行動療法は、日本だけではなく世界的にも有効だと言われています。特に、イギリスでは軽度のうつ病や認知症にも効果的だと同じく政府が認めるほどです。 弊社のカウンセリングでも、必要に応じて認知行動療法を会話の中で取り入れることもあります。
⑥認知行動療法はひとりでもできるって本当?
認知行動療法については、なんとなくお分かりいただけたかと思います。でもこの認知行動療法は、自分ではできないのかな?専門家と一緒にやらないと意味がないのかな?と迷う方も多いのではないでしょうか。ここからは、自分でもできる認知行動療法の方法についてお伝えをします。
ただ、1年、2年そしてそれ以上の期間悩んでいるのでしたら自分で行うだけでは、ただ時間だけがすぎてしまい解決できないことがほとんどです 。
そのため、できることならカウンセラーなどの専門家と一緒に行うと素早くお悩みの解決をすることができます。
とは言っても、いきなり専門家に相談をすることは勇気が必要ですよね。まずは、自分で認知行動療法を試してみてください。そして、「あぁこんな感じで行うんだ!」ということが分かったあとに専門家と一緒にやってみてください。
1最近イラっときたことをひとつ思い出してみてください。
2あなたはどんな気持ちでしたか?
3何故そう思いましたか?
4そう思った根拠は何ですか?
5相手はその時どの様な行動をしましたか?
6相手はどのように感じたと思いますか?
7第三者から見てどんな事が苛立ちに繋がったと思いますか?
8もっと良い解決策はありませんか?
このような流れに沿って、自分の行動をひとつひとつ振り返ることによってどんな状況でも冷静に、正しい対処をすることができるようになります。
⑦認知行動療法とカウンセリングの流れ
認知行動療法をカウンセリングで行う場合は、どのようなケースが多いのでしょうか。弊社の事例をもとに実際の流れを紹介します。
Aさん
年齢:10代
お悩みの症状:
・直ぐに不安になる
・不眠
・自律神経失調症
・情緒不安定
・パニック障害
カウンセラー:Aさんはどんな時に不安になるの?
Aさん:例えば、テストの点数が低かったらどうしよう、受験に受からなかったらどうしようと考えると夜も眠れなくなるし、急に何かを壊したくなります。そうすると声が聞こえるんです。死んでしまえば楽だよって。
カウンセラー:そんな事があるんだね。確かにテストの点数が悪くて受験に失敗するのは怖いよね。もしかして、過去に悪い点数を取った事があるのかな?
Aさん:はい。それで酷く母に叱られました。
カウンセラー:それは怖かったね。もしかするとそれがトラウマになっているのかもしれないね。テストの点数が悪い=いけない事って思う事が苦しいのかもしれないね。
Aさん:だってテストの点数は悪いよりもいい方がいいもん。
カウンセラー:そうだよね。でもね、テストでいい点数を取るために頑張るという気持ちが将来的に大きな成長に繋がるんだよ。失敗する事は悪い事じゃなくて、どうしたらそうならないかを考える事が重要なんだよ。
このように、自分の固定概念が時に自分自身を苦しめる事になります。もちろん、心の病は認知行動療法だけでは治すことはできません。しかし、気づきをもらうことにより自分の見方が変化し、生きることが楽になるきっかけを掴めるようになります。
参考:厚生労働省 認知行動療法マニュアル
⑧認知行動療法だけでは心のケアができない3つの理由
これまで認知行動療法についてお伝えをしました。ただ、実際のカウンセリングでは、認知行動療法のみでは十分な心のケアをすることは難しいといえます。なぜなら、認知行動療法はあくまでも現状を知り、どうしたら良いのかを「知る」 ことが中心だからです。
辛い気持ちや自分を変えるためには「知る→できるようになる→日常生活の生きづらさを解消する」 このステップが欠かせません。これからもう少し詳しくお伝えをします。
8-1:認知行動療法を知っていてもできるとは限らない
きっと、この認知行動療法のページにたどり着いてくださったあなたは、他の人たちよりも多くの心理を勉強してきていると思います。
だからこそ、きっと理解してくれると思いますが、「本に書いてあるけれど、実践してみると案外できないことや違うぞ」と感じたことはありませんか?
認知行動療法もそれと同じなんですよね。どんな時に、どんな対応をしたら良いのかは分かっても実際に行動に移すことは至難のわざ です。
例えば、あなたがダイエットをしよう!と考えていたとします。ダイエットをするなら甘いケーキやクッキーは食べてはいけない!と思ったとしても、ついつい食べてしまう….。
なんて経験ありませんか?これは私のことなんですが(苦笑)認知行動療法もこれと同じなんですよ。すぐに正しい方法や考え方が分かっても実践をすることに大きな壁を感じやすいです。
よく言われる「分かっているけれどできない」の状況で更に悩んでしまう ケースが多いです。ですから、他の心理療法も合わせて心のケアをしてあげると具体的に何をどうしたら良いのかを感覚で覚えることができる ようになります。
8-2:認知行動療法だけでは、過去の傷を癒すことはできない
過去の傷がずっと心の中に残っている・・。事あるごとにその怒りや悲しみ、憎しみが込み上げてくる。ダメだと分かっていても、気持ちは止められない・・。
そんな風に思うこともあるかもしれません。認知行動療法では、過去の傷を癒すことはできません。考え方や捉え方を変えることはできるかもしれませんが、根底の心の傷を癒すことはできません。
ですから大きな心の傷がある場合は認知行動療法だけではなく、催眠療法や他の心のケアも併用してあげることが一番大切です。
8-3:認知行動療法では、根底の問題が分からない
人と上手くコミュニケーションが取れない、自信を持つことができない、解決するべき課題は分かるけれど、一体何が問題なんだろうか?と思ったことはありませんか?
生きづらさの根底の問題を解決するためには、認知行動療法ではなく心理分析や催眠療法などを利用 することをお勧めしています。無意識から心を癒す催眠療法については、ここをクリックすると読むことができます。
そうすることによって、自分がどうして人と上手くやれないのか、どうして人が怖いのかなども分かるようになります。
認知行動療法は、今自分が抱えている問題には焦点を当てやすいです。ただ、もっと深く自分を知りたい場合や一度肩の荷を降ろしたい時は、他の心理療法も併用するとあなたのお悩みが素早く解決しやすく なります。
そうではない場合にはまずは認知行動療法ではなく他の心理療法を受けてみることをお勧めしています。
⑨認知行動療法以外のカウンセリングも受けてみよう
私たちの心は複雑にできています。例えば、あなたの抱えている生きづらさと他の人が抱えている生きづらさはきっと違いますよね。幼少期のトラウマがある人もいれば、社会人になってから人間関係のトラブルで苦しくなってしまう人もいるます。
他にも、嬉しいと思うことも人それぞれです。旅行に行くことが楽しいと思う人もいれば、読書をすることが楽しいと思う人もいます。このように心は千差万別だからこそ、認知行動療法だけに改善方法を絞るのではなく、自分にあった心理療法を見つけていくことが大切 です。
⑩認知行動療法を受けたい方へ
認知行動療法と聞くと非常に厳しい言葉のように聞こえると思います。しかし、実際は第三者の目線でたち物事を冷静に考えれるようになるひとつの方法です。
ひとりで挑戦をしてみて、もしも難しい場合は専門家と一緒に認知行動療法に取り組んでみるのも、自分の心を楽にするひとつの方法です。
カウンセリング会社の弊社でも、認知行動療法を行うカウンセリングも提供しています。詳しくは、ライフファクトリーのカウンセリングの特徴をご覧ください。また、改善方針のご相談は無料で行っていますので、お気軽にご相談くださいませ。
公認心理師:吉田澄中央
ライフファクトリー東京代表。国家資格である公認心理師と産業カウンセラーの資格も保有。催眠療法の講師でもある。「改善するカウンセリング」の実現のために、今まで1万回を超える相談と向き合う。本気で相談者と向き合いアドバイスをするため弊社でも人気NO1