人が怖い。自分がどう思われているのか、気になる。本当は、仲良くなりたいのに、目に見えない壁があって、「普通」のみんなとのあいだが仕切られているみたい…
あなたが「普通」だと思っている人たちって、社交的で明るいですよね。その人たちでも、「人が怖い」ときがあります。だれでも、人見知りもしますし、人前では緊張もするからです。
でも、あなたが感じている「人が怖い」気持ちは、きっと、それとは別の何か、なんですよね。あなたは、とても敏感な心の持ち主で、怖い思いをしても、「自分が悪いせいだ」「自分に何かが足りないんだ」って思ってしまいますね。私は断言します。けっして、あなたのせい、ではありません!
あなたが感じている「人が怖い」気持ちには、隠れた理由があります。この理由に気づき、あなたの心を、まずは自分自身で受け入れてあげること で、あなたは今の状況から卒業できるのです。この記事では、そのためのプロセスをご紹介しています。
①人が怖い理由を見つけよう
どうして人が怖いのか?考えてみたことはありますか。どんな症状や状況にも必ず理由があります。まずは一緒に、紐解いてみませんか。簡単なセルフチェックからいってみましょう。
1-1:人が怖い理由をセルフチェックしよう
まずは、セルフチェックをしながらあなたに該当することがないかを確認してみてください。
☑自分に自信をもてない
☑傷つくのが、怖い
☑手足が震えてしまう
☑誰かから評価されることが苦手
☑悪口を言われるのが怖い
☑いつも、人に嫌われると思う
☑人からの批判がとても怖い
☑自分の意見を人に言うのが苦手
☑自分は、ダメな人だと思うことがよくある
☑子どものころ、親のしつけが厳しかった
参考:対人恐怖症-社会不安障害 医療法人和楽会
どれかひとつでも、当てはまるものがありましたか?当てはまったものが、あなたの、人の視線が怖くなる感覚の原因 なのです。漠然と人が怖いと感じてしまいがちですが、「具体的に何が怖いのか?」を知ることで、どんな思考パターンを改善すると人が怖くなくなるかが分かってきます。
でも、安心してくださいね。原因がわかったあなたは、自分を変えるための第一歩をもうすでに踏み出しているのですから。人が怖いと言う方には、3つの考え方のパターンがあります。チェックリストの結果を振り返りながら、当てはまるものを探してみましょう。
1-2:誰かと比較をすることが原因で人が怖くなるタイプ
・他の人には当たり前にできることが、自分にはできない
・自分はこんなこともできない、ダメな人間だ
・他人の成功がうらやましくなる
こんな気持ちに心当たりはありませんか?そんなあなたは、「ないものをすぐに見つけてしまう思考パターン」 がある可能性も…。ないものばかりを見てしまいがちですが、「あるもの」に目を向ける習慣をつけると解消していきます。
1-3:違う意見を言われた時に否定れたと感じるタイプ
仕事中などに、誰かからアドバイスをもらうことがありますよね。また、家族や友人と意見や感じ方が違うとき、これもよくあると思います。
そんなとき、あなたはどう感じますか?なんだか、自分がしてきたことや感じたことを否定されたような気持ちになり、違う意見を言われて悲しい、ひどい…そんな気持ちにとらわれることはありませんか?
「へえーそんな考え方もあるんだ」
「いいご意見をありがとうございます!参考にします!」
と素直に受け止めたり、時には、自分とは違う価値観だなぁと流すことも大切です。それでも相手からの言葉を否定的に受けてしまう場合は、無意識の中で「自分のことを受け入れてほしい….」 と思ってしまっているのかもしれません。
1-4:自分自身を好きになれないタイプ
自分のことを好きになれない..と思う人は多いですよね。でもそう思っている人たちはとっても多いです。平成30年に、国が「自分自身の意識調査」をアンケートしたところ、半数以上の人たちが自分自身に満足していないんです。
また、「自分は役に立たないと強く感じる」の設問には、半数以上の人がそう思うほうの回答をしています。ついつい、キラキラしている人たちをみて自分はダメな人間なんだ…。自分のことが嫌い!と思ってしまいがち。
でも、一つだけ知っておいてほしいことがあります。それは、自分が嫌いだ!という思いだけで止まっていませんか?そうすると、ますますネガティブな方向に気持ちが動いてしまい悪循環になりやすくなるということです。
その一方で、自分のことが嫌い!という思考パターンからどうしたら抜け出すことができるのかな?と考えてみること で、少しずつ悪循環から抜け出すことができます。ぜひ、今日から考えてみてください。
この3つのなかで、今のあなたの気持ちに当てはまるものはありましたか?どれも、人によっては、「そんなネガティブな考え方はやめなよ!」と簡単に言えてしまうことかもしれません。あなた自身だってわかっているしそうしたいと切望しているはず。
でも、そんなに簡単なことじゃないですよね。じゃあどうしたらいいの!?おっしゃる通りです。苦しいループから抜け出すためには、根っことなる原因を見つけてつかまえてあげる 、まずはこれが重要なんです。次の章で解説します。
②人が怖い根本の原因を深掘りしてみよう
これまで育ってきた環境によって、私たちの性格や感じ方はことなります。例えば、大人になっても大きな音がすると怖くなる場合は幼い頃に何か大きな音で怖い目に遭っていることもあります。
また、常に人目を気にする言動を親から言われていると、ひと目を気にするようになります。もう少し、人が怖い根本の原因を遡ってみましょう。
2-1:アダルトチルドレンという言葉を聞いたことはありますか?
あなたの幼少期に、こんなこと、思い当たりませんか?
・親から暴力を受けたことがある
・父親が家にいないことが多かった
・家族からよく怒られたり、怒鳴られたりした
・母親から父親の悪口をよく聞かされた
・成績のことなどでヒステリックに怒られることがよくあった
・過干渉で何でも先回りされ、自分のことを自分で決めることができなかった
子どもが育つ過程では、家族に安心して甘え、思ったことをのびのびと言える環境が必須です。この当然あたえられるべき機会を、幼少期の家族から奪われてしまい、「親の希望をかなえること」を主軸 に考えながら成長してしまうことで、アダルトチルドレンはできあがります。
アダルトチルドレンの方の多くは、記憶に残らないほどに幼いころから、「親に従わなければ見捨てられる」恐怖感を刷り込まれています 。見捨てられる!これは幼い子どもにとって命に係わる恐怖ですから、大変に根の深い傷です。
ひどく理不尽な目に合っても、アダルトチルドレンの方の心は、しっかりと心に刻まれた恐怖に知らず知らず支配され、「怒られるのは自分が悪いせいだ」と思い込み、自分を責め続けます。
人生の基盤をつくるはずの大切な成長期に、こうした深い傷を負ってしまうことで、アダルトチルドレンが原因で、「人が怖い」という感覚が出来上がってしまう のです。アダルトチルドレンについて詳しく知りたい方は、アダルトチルドレンの原因と治し方をご覧ください。
2-2:過去にトラウマなる出来事があった
「トラウマ」は、アダルトチルドレンに比べるとメジャーな言葉ですよね。誰でも多少のトラウマは抱えながら生きているのですが、大きなトラウマを抱えてしまった方は、恐怖心も強くなります 。過去にした自分の失敗がトラウマとなることもありますし、性的虐待やDV(家庭内暴力)によるものもあります。
2-3:人と接した経験が浅い
あなたは、知らない人やものに初めて触れるとき、ドキドキしたり不安になったりすることがありますか?これは生きる上で正常な反応です。ほとんどの人が、初めてのものには緊張します。
よくわからないものに警戒なく近づけば、危険なものであったときに大変な思いをしますからね。これと同様に、経験が少ないために人との接し方、つまりふるまい方や話し方がよくわからなくて、必要以上に恐怖心を持ってしまう 方がいます。もしもそうなら、下記のことを意識してみてください。
ストレスに対処する方法を工夫したり、苦手としている状況に少しずつ段階を踏んでチャレンジしながら自分に自信をもつ、といったことで良 くなっていく人もいる。
参考:10代、20代のメンタルサポートサイト厚生労働省
このように、場数を踏むことで、「案外、人って優しいな」「けっこうなんとかなるな」と気づき、恐怖心をなくしていくことができます。
③人が怖いという気持ちを軽減する3つの方法
人が怖くなってしまう原因を紐解いてみましたが、あなたの原因の根っこは見つかりましたか?この章では、あなたが人への恐怖心から自由になるためのポイントをお話ししようと思います。
3-1:過去の影響を知ることで、自分を解き放つ
あなたが自信を持てなかったり、周りに気を遣いすぎたりしてしまうのは、断じて「現在のあなた」でのせいではありません。「過去の影響」 なのです。人が怖い、という感覚をお持ちの方は、大きな音に過敏に反応する方の割合が高いです。
過去に乱暴なことをされた経験などから、突然の大きな音に敏感になってしまうのですが、ほら、これ、本人が悪いのではないですよね。特に、幼少のころから心に傷を持っている方は、簡単に考え方を変えられないかもしれません。当然です。これまでの人生の年数分、あなたは傷を抱えてきたのですから。
でも、もう「自分に何か足りないせいだ」と一人で悩み苦しまなくていいんです。「普通」なんかありません。あなたは、あなたのままでいいんです。受けた傷も、それに向き合ってきたのも、全部かけがえのないあなたという人 です。
3-2:ものの見方を変えて、人が怖いという思考パターンを抜け出そう
「普通」なんかない、と先ほどお話ししました。そう、「こうあるべき」という正解はありません。ものごとには、見る方向を変えればいろんな顔がある からです。「認知のゆがみ」という心理学の用語があります。簡単に説明しますと、身の回りに何かが起きたとき、マイナス面を強調して受け止めてしまい 偏ってしまいます。
たとえば、あなたの友人が、仲の良い恋人にちょっとしたLINEを送ったけれど、なかなか返事がこない。「無視されているかも」「きっと嫌われているんだ」と思ってとします。
「そんなことないんじゃない?」とあなたは思いませんか?ほとんどの場合は単に忙しくメッセージを返せないだけです。
例えば、誰かに恋をしている時をイメージしてみてください。恋をしていると気持ちが不安定になることが増えたりしませんか。相手の言葉ひとつ、ひとつに一喜一憂してしまったり…。
このように、自分の感じたことが「事実」と捉えてしまうと自分に起こるすべてのことに、ネガティブな受け取り方をしてしまいます 。
誰もが、大なり小なり認知のゆがみを抱えて生きていますし、ネガティブな受け止め方もひとつの特性です。ただ、負の受け止め方を繰り返して、苦しい思いをするようならば、別の視点を手に入れて改善すると、生きやすくなります。
3-3:自己肯定感を上げる
「どうせ自分なんか」「自分は生きている価値がない人間だ」そんな思いに苦しむことはありませんか?これは、自分を否定してしまっているマインドです。
この逆が、自己肯定感が高い状態です。少し困難な事態でも、状況を楽しむくらいにポジティブに取り組める前向きな人、まわりにいませんか?自信たっぷりに見える人でも、自己肯定感が常に高いわけではありません。落ち込んで眠れない夜もきっとあります。
ただ、自分のマインドを上手にコントロールする術を身に着けた人 であるといえるでしょう。今のあなたは、人が何を考えているのか不安になったり、自分が嫌われているんじゃないかと心配になるかもしれません。自己肯定感を育てていけば、徐々に人の目が気にならなくなります。
④人が怖い気持ちを改善する具体的な方法をお伝えしました
人が怖いという状況を改善するための具体的な3つの方法をお伝えしました。まずは、自分でできるところから挑戦をしてみてください。それでもどうしても人が怖い、人からの視線が不安になる時は専門家を頼ることもお勧めです。
ひとりで悩みを抱えるのではなく、ぜひ相談をしてみてください。また、人が怖い気持ちをどのように専門機関で改善しているのかを具体的にお伝えをしています。
詳しくは、人が怖い!他者が怖い気持ちを緩和する具体的なカウンセリング方法をご覧ください。
公認心理師:吉田澄央
ライフファクトリー東京代表。公認心理師でもあり催眠療法士として活躍。「改善するカウンセリング」の実現のために、今まで1万回を超える精神科診療に同席。現役の心理師でありながら日平均来院数1000人以上の精神科医院にて、患者相談部門の事務長を任される経歴を持つ精神科医療分野のプロフェッショナル。
吉田心理師の監修:「不安障害」記事一覧
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