これと言った理由もなく突然激しい動悸や震え、めまいなどに襲われるパニック障害。発作の再発を恐れる予期不安や、発作の起きそうな場所や状況を避ける広場恐怖などがあり、多くの方が発作が起きていないときでも辛い気持ちを感じています。
今回は自分に合ったパニック障害の治し方を見つけ、その状況を少しでも早く改善してもらえるようにさまざまな治療方法をご紹介します。
「素早くパニック障害を治す方法」「自分でもできる改善方法」「周囲と協力しての治療方法」をわかりやすく説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。
まだパニック障害とはどんな症状なのかなぁ..?自分はパニック障害もしれない!とご不安な方は、パニック障害とは?その詳細と原因をまずはご覧ください。
目次
①パニック障害を治すために重要な3つのポイントを紹介
パニック障害を治したい!すぐにでも完治させたい!そう思う方も多いと思います。私たちも少しでも早く、改善をするために気をつけてほしいポイントを具体的に紹介をします。
1-1:自分を不安にさせる「思い込み」をやめる
一度パニック発作を経験すると、いつ発作が起きるかわからないという不安から、緊張や恐怖を日常的に感じるようになります。
「また失敗をしてしまったら…」「途中で気分が悪くなってしまったら…」など、さまざまなことを考えてしまうのは、多くの方にある思考の癖です。
ところが実際はどうでしょう。不安に思ったことが現実で起こったことは、ほとんどないことに気づいていただけるかと思います。実際に、不安の9割は起こらないとも言われているのです。
不安は誰にもあるものですが、過度な不安は行動に制限をかけたり、うつ病等の精神疾患につながったりと、状況を悪化させることになりかねません。
自分自身を安心させてあげるためにも、不安の元が「思い込み」であることを理解して、不要な不安と決別しましょう。
1-2:規則正しい生活をする
また規則正しい生活を送ることもとても重要です。昼夜逆転の生活や不規則な食事は体が求める自然なサイクルに反抗している状態で、大きな負荷になってしまいます。
規則正しい生活を送ると、活動のバランスを整える自律神経が安定して、それだけでも体の不調を改善することにつながります。
1日3食のバランスの良い食事や十分な睡眠、日々の運動などに積極的に取り組みましょう。
1-3:根底の問題を解決する
パニック障害を引き起こす「根底にある問題」を解決することは、今の状況を改善するだけでなく未来の自分が暮らしやすい環境を作ることにも繋がる大切な行動です。
根底にある問題とは、「生活リズム」や「物事の考え方の癖」かもしれませんし、職場や家庭など「おかれた環境」かもしれません。
パニック障害は、そのような原因の外に見える表面的問題でしかなく、解決しないままに治療を止めてしまった場合、同じような状況で辛いパニック障害を繰り返すことになってしまいます。
原因を解決し、ストレスをコントロールする方法を身につけることであなた自身が暮らしやすい未来を作りましょう。
自分自身を深く見つめ直すことは決して簡単なことではありませんが、周囲の力を借りながら焦らずゆっくりと取り組みましょう。
②自分でもできるパニック障害の治し方
パニック障害を治す方法を抑えましたら、今度は自分でもできるパニック障害の克服方法について3つお伝えをします。
2-1:体の調子を考えた食生活を意識する
健康な体を維持するために体内ではさまざまな物質が生産され働いています。これらを神経伝達物質といいます。
主なものに集中や積極性などのやる気を促す「ノルアドレナリン」、喜びや快楽など意欲をもたらす「ドーパミン」、この2つをコントロールして気持ちを安定させる「セロトニン」があります。
パニック障害はこれらのバランスが乱れたときに起こりやすいため、バランスの良い状態を維持することで状況を改善することができます。
そのために自分でできることのひとつが食生活を整えることなのです。役立つ食材を知って積極的に取り入れましょう。
栄養素にはそれぞれに役割がありますが、パニック障害の改善のために特に必要だと言われているのは「鉄」「タンパク質」「ビタミン」です。
「鉄」は神経伝達物質を作る手助けをし、「タンパク質」は神経伝達物質の原料になります。「ビタミン」はうつ病の発症や経過に悪影響を及ぼすと言われています。
<パニック障害を治すためにおすすめの栄養素>
◆タンパク質
・大豆製品(納豆や豆腐など)
・チーズ
・たまご
・ささみ肉
◆鉄
・レバー
・赤身肉
・海藻
・納豆
・青菜類
<パニック障害を治すために控えた方がいい栄養素>
◆炭水化物
・米飯
・パン類
・麺類
・砂糖類
2-2:睡眠の質を高める
また夜の時間の過ごし方を改善することでも心身の不調を改善することができます。一日のうちの長い時間を費やす睡眠の質を整えましょう。
就寝の1時間程前に40度くらいの少しぬるめのお風呂にゆっくりと浸かります。体をしっかりと温めた後、お風呂をあがってしばらくすると体温がすっと下がります。
そうすると、眠気につながるメラトニンという物質が分泌され、寝付きやすくなります。お湯が熱すぎたり灯りが強すぎたりすると、興奮して眠れなくなってしまうので注意しましょう。
またスマホやパソコンのブルーライトはメラトニンの働きを阻害してしまいますので、夜10時以降の使用は控えるのがよいでしょう。
毎朝決まった時間に朝陽を浴びることも大切。体内時計がリセットされ、血圧や体温などのコントロールを始める合図になり、メリハリのある1日のスタートをきることができます。
2-3:マインドフルネスを取り入れる
マインドフルネスとは、ストレスや雑念から解放され「今ここ」だけに集中している心の状態、もしくはそれを目指すプロセスのことです。
あれこれと忙しなく考え続けている状態から、脳や心を開放しデトックスして、快眠や集中力の向上に繋がる精神的な安定を目指すことができます。
やり方はシンプルで、姿勢を正し自分の呼吸に意識を向けるだけ。最初は少し難しいですが、これを丁寧に繰り返すことで雑念から解かれます。
そして、呼吸による空気の動きを感じられるようになります。最初は5分ほど続けてみましょう。かなり頭の中がすっきりしますよ。
パニック発作が起こりそうになった時にも応用可能。自分の呼吸に意識を向けてみると、普段よりも呼吸が浅くなっていることに気がつくはずです。
そのようなときには、少し心を落ち着けてゆっくり深い呼吸をしてみてください。心や体が整い、穏やかな気分になれます。
③周囲と協力したパニック障害の治し方
パニック障害の治し方には「薬物療法」と「心理療法」の2つがあり、それぞれに有効なタイミングや特徴があります。
状況に合わせて適切な方法を選ぶことがパニック障害を治す近道ですので、自分だけで判断せず、医師のアドバイスに従いましょう。
3-1:薬物療法と注意すべき副作用
まずは、薬物療法によるパニック障害の治し方をご説明します。薬物療法では多くの場合2つの薬を併用します。
治療の中心として抗うつ薬を用い、効き目がでるまでの2~3週間に即効性の高い抗不安薬を活用することが多いです。
抗不安薬は依存性の問題があるため、必要な時だけに頓服で服用することが推奨されています。
・抗不安薬(ベンゾジアゼビン系)
パニック障害では、何も危険なない状況でも脳の誤作動により呼吸困難やめまいなどのパニック発作が起こります。
抗不安薬はこの誤作動を改善して発作を抑える効果があり、さらに30分で効く即効性の高さもひとつの特徴です。
長期間に渡って定期的な服用を続けると依存につながることがありますので、服用は必ず医師の指示に従いましょう。
【副作用】眠気、ふらつき、記憶障害、依存性
・抗うつ薬(SSRI)
パニック発作が改善された後でも、発作に対する不安のために行けない場所ができたりと、日常生活に支障をきたすことがあります。
抗うつ薬では、不安やイライラを調整するセロトニンの作用を高めることで、徐々にパニック発作に対する心配や不安を薄めていきます。
【副作用】吐き気、食欲不振、下痢や便秘、眠気など
参考:日経メディカル処方薬事典
3-2:根本的な改善を目指す心理療法
もうひとつ、パニック障害の治し方として心理療法があります。発作がなくなったからといって、それだけではパニック障害が治ったとは言えません。
予期不安もなく安心して日常生活を送れるようになることがゴールです。
心理療法では、パニック発作につながる思考の癖や人間関係のパターンから原因を見つけ出して、適切に修正することを目的としていて、自分に合った方法でちょうどよいペースで進めていくことが大切です。
今回は「認知行動療法」「催眠療法」「弁証法的行動療法」の3つをご紹介します。
④パニック障害を治すためにおすすめな心理療法
パニック障害を治すために有効な心理療法が4つあります。それは、自分の思い込みを外す方法、不安感を緩和する方法、心を落ち着かせる方法です。具体的に説明をします。
今パニック障害で悩んでいる方は、ぜひ読み進めてみると克服をするためのヒントをみつけることができると思います。
4-1:物事の捉え方を改善する認知行動療法
同じ状況や出来事に対してでも、個人よって異なる受け取り方があります。この受け取り方のことを「認知」と呼びます。10人いたら10通りの考えがあるということを受け入れるように心を育てていきます。
そして、同じひとつの事柄でも色々な方面から物事を捉えることができるようになります。自分自身の気持ちが楽になるように改善していくことを目的とするのが認知行動療法です。具体的には以下のように進みます。
認知行動療法の具体的な4つのステップ
1)カウンセリングを通じ、自分自身の困りごとや考え方の癖を振り返る
2)改善のゴールを決めて、今後の取り組みについて相談する
3)カウンセリングで取り組みとその結果を振り返り、継続するのか他の取り組みをやってみるのかを決定する
4)3を何度か繰り返し、目標が達成できたことを確認できたらカウンセリングは終結。
更に詳しく、認知行動両方について知りたい方は認知行動を分かりやすく解説をご覧ください。
4-2:不安感を素早く軽減できる催眠療法
催眠療法とは、催眠状態に入り自分の内面と向き合うことで、ストレスや悩みの原因を探る療法です。
心身共にリラックスをした状態で、普段は自覚していない「潜在意識」からのメッセージを受け取り、問題解決に役立てます。
原因の深部にアプローチし素早く高い効果が得られる療法として、科学的に効果が認められ医療現場でも実践されている療法です。
催眠療法で十分な効果を得るためには、医師との信頼関係や催眠療法に対する正しい理解が非常に重要です。
医師やカウンセラーに相談し不明な点を解決してから臨みましょう。
Q:パニック障害を治す催眠療法とは?
1)今の状況を整理する
医師やカウンセラーからの催眠療法についての説明を受け理解を深める。カウンセリングにより、自分の知りたいことやテーマを明確にする。
2)催眠療法を行う
リラックスをした状況で、全身の力を脱力します。そうすることで、全身の血流なども改善をし、脳波が非常にリラックスした状態になります。リラックスした状態になったら、催眠療法士が暗示文を入れて心を癒します。
3)今後の治療の進め方について相談し決めていきます。
催眠療法について詳しく知りたい方は、催眠療法のページをご覧ください。
4-4:ありのままの自分を受け止める弁証法的行動療法とマインドフルネス
最後にご紹介するパニック障害の治し方は認知行動療法の一種である弁証法的行動療法です。
「変化させること」と「変化させずに受け入れること」のどちらかを切り捨てるのではなく、療法をバランス良く取り入れ最適な解決方法を導き出すことを大切にしています。
問題行動の中の適応のための努力を認めた上で、適応的な行動を増やし、不適切な行動を減らすことで、問題の解決を目指します。
治療はスキルを学習する個人トレーニングと身につけたスキルを実践するグループトレーニングがあり、軸となる「マインドフルネス」に加え、「苦悩への耐性」「感情の調整」「対人関係のスキル」の合計4つを段階的に習得していきます。
⑤弊社でおすすめのパニック障害の改善方法
ここからは、弊社でおすすめをしているパニック障害の克服方法についてお伝えをします。基本的に弊社でも同じようなステップで多くのクライアントさんがパニック障害を乗り越えています。ぜひ、参考にしてみてください。
STEP1: 今の状況をカウンセリングで整理する
これまで、頑張ってきたあなたの心はきっと疲れていると思います。まずは心がほっとするためにも、今の悩みや辛い気持ちをカウンセラーに吐き出してせ整理をします。
STEP2:ありのままの自分を受け入れてあげる
完璧な人間などいません。誰もが良いところや気をつけないといけない部分があります。ここでは、今の自分を変えるというよりもとにかく優しく抱きしめてあげることで自分自身の存在を大切にし、自己肯定感を高めていきます。
STEP3:催眠療法で後押しをする
ありのままの自分を受け入れることができたら、今度は無意識で抱えている辛い気持ちを手放してあげます。「自分はパニック障害である」「電車にのるとパニックが起きるんだ」という思い込みを外します。そうすることで、パニックを引き起こす回数が少しずつ改善をしていきます。
STEP4:未来に向けたコーチング
パニック障害はある日突然起こります。しかしその前から辛いことや苦しいことを抱えている場合がほとんどです。その根底にあるものが「人間関係」「失恋」
「人の顔色が気になる」というケースが非常に多いです。そこでライフファクトリーでは、パニック障害の再発防止をするためにも下記のことを行います。
・コミュニケーション
・ストレスケアの方法
・感情のコントロール
・モチベーションをあげる
など、担当のカウンセラーとあなたが相談をして次のステップへと進んでいきます。
STEP5:必要であれば、再び催眠療法がおすすめです
このSTEP5になる頃には、パニック障害を克服している場合がほとんどです。そこで、ここで再度催眠療法を受けるとコーチングで身につけた自信や自己肯定感をあなたの無意識に後押しをすることができます。
⑥パニック障害を治すためにも正しいケアをしよう
今回はさまざまなパニック障害の治し方をご紹介してきました。今日から意識してすぐにはじめられるものから専門的な療法まで多様にあります。
ご自身にあった方法を進めやすいペースで進めて行くことが、パニック障害の完治のために一番大切です。
パニック障害はたくさんの不安や恐怖を感じるとても辛いものです。決してひとりで抱えず、周囲と協力して改善を目指しましょう。
これまでに、多くのパニック障害で悩んでいた方を改善したライフファクトリーのカウンセリングの特徴も合わせて読んでみてください。そうすると、パニック障害を治すヒントが分かりますよ。
公認心理師:吉田澄央
ライフファクトリー東京代表。公認心理師でもあり催眠療法士として活躍。「改善するカウンセリング」の実現のために、今まで1万回を超える精神科診療に同席。現役の心理師でありながら日平均来院数1000人以上の精神科医院にて、患者相談部門の事務長を任される経歴を持つ精神科医療分野のプロフェッショナル。
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