昨日は調子が良かったのに、なんだか今日はとても辛い。体が重くてどんよりしている。元気が行方不明とでもいうのでしょうか。
一方で、すごく怒りっぽかったり、ちょっとしたことで涙が出たり。そういった情緒不安定な状況を引き起こしている原因をご存知ですか?毎日楽しく穏やかに過ごせるようになるためのポイントをいくつかご紹介します。
目次
①情緒不安定が引き起こされる3つの原因
感情の波というものは誰にでもあるものです。しかし、情緒不安定は、感情の起伏が激しく心が安定しないために生きづらさを感じますよね。まずはどうして情緒不安定になってしまうのか、意外な理由をご紹介します。
情緒不安定になる原因①脳の栄養不足
あなたは今朝、どんな食材を口にしましたか?実は栄養素と情緒不安定は密接しています。もしもあなたがお米やパンなどの炭水化物がメインなら食事を少し変えるだけでも情緒が安定する可能性があります。
なせなら、人が元気に活動するためには脳の神経伝達物質が重要なのですが、その働きに必要なのが「栄養素」です。脳内の神経伝達物質というのは、意欲や記憶・学習・興奮・安心などの感情を司っています。
この栄養素が不足すると、神経伝達物質がうまく働かなくなり、疲れ・イライラ・意欲の低下など、心のバランスが不安定になります。
情緒不安定になる原因②休息がしっかり取れていない
あなたが思わずホッとできる時間はいつですか。そう聞かれると多くの方は困ってしまうのではないでしょうか。リラックスをする時間はとても大切だと分かってはいるものの実際は時間を作ることが難しい…そんな声も耳にします。
しかし、休まないでいることのリスクはかなり高いです。私たちは、眠ることで体力を回復するだけでなく、抱えたストレスを軽減させたりしています。
そのため、時間に追われ十分な睡眠がとれなかったり睡眠の質が悪い場合や、ずっとストレスに晒され心身が休まらない状態が続くと、うまく回復できなくなって、記憶力の低下や、暴飲暴食、イライラの原因となります。
情緒不安定になる原因③先の見えない不安感を抱えている
先のことを考えて、不安になることはありませんか。このまま、情緒不安定がずっと続いたらどうしよう…将来の仕事について考えると憂鬱な気分になる…と思う方も多いのではないでしょうか。
先述した脳内の神経伝達物質には、幸せホルモンと言われているセロトニンや、やる気を出してくれるドーパミンなど様々なものがあります。
どれか一つが多く分泌されたり、逆に少なすぎたりといったバランスを崩すと、感情のコントロールがうまくできなくなってしまいます。そうすると、起きてもいないことを心配して不安になったり、思い悩んだりします。
参考:みんなのメンタルヘルス:こころの病気の初期サインに気づく
②情緒不安定を治すためには自律神経を安定させること
情緒不安定が引きおこる理由に、神経伝達物質や栄養素などが関わっていることをお伝えしました。今回は、自律神経と情緒不安定の関係性やどうしたら情緒を安定させることができるのか、その具体的な方法を3つご紹介します。
2-1:情緒不安定は自律神経を整えることが大切
自律神経は、自分の意思で思った通りに動かすことのできない機能をコントロールしていて、内臓の働きや代謝、体温などを調整している神経です。人が活発に動いている日中は「活動を促す交感神経」が優位で、リラックスしている夜間は「心を落ち着かせる副交感神経」が優位となります。
例えば企画のプレゼンの際、みんなの前でスピーチをしなくてはならないとなったら、ドキドキ緊張しますよね。変な汗をかいたり、口がカラカラに渇いたり。これは交感神経が活発に働いている状態です。
逆に、スピーチも無事に終わりホッと肩を撫でおろしたり、緊張がほぐれてお腹が空いてきたりする時は、副交感神経が活発になっていると言えます。この2つの神経がうまく切り替わらなくなると、疲れやすく、元気が出ない状態となります。
2-2:情緒を安定させるには呼吸を整えよう
自律神経と呼吸というのは深く関係があります。腹式呼吸をすると、交感神経を抑えて副交感神経を優位にさせることができます。そうすることで、心身を休息モードに導き良質な睡眠を取ることができます。寝る前にお布団の上で、ゆっくりと腹式呼吸を5回やってみましょう。それだけでも睡眠の質は向上します。
2-3:規則正しい食事で情緒不安定が治る
必要な栄養素が不足すると脳内の神経伝達物質がうまく働くなるため、イライラしたり不安になったり心身のバランスを崩します。
そこで情緒を安定させるためにお勧めの栄養素が全部で3つあります。自律神経を整えるのに欠かせない「GABA(ギャバ)」、セロトニンを作りだすのに必要な「トリプトファン」、ストレスにより大量に消化させる「ビタミンC」があります。それぞれのお勧めの食材を具体的に紹介をします。
<情緒を安定させるためにお勧めの食材>
「GABA(ギャバ)」が多く含まれている食材
・ナス
・カボチャ
・アスパラガス
・ジャガイモ
「トリプトファン」が多く含まれている食材
・バナナ
・豆腐などの大豆製品
・チーズなどの乳製品
「ビタミンC」が多く含まれている食材
・いちご
・キウイ
・ブロッコリー
・ほうれん草
などを取り入れた食事をすることで、情緒不安定も少しずる治っていきます。実際に弊社でもパニック障害やうつ病そして統合失調症の方にも食事療法を取り入れています。参考;うつ消しごはん
基本的には、3ヶ月後には体が軽くなったり、情緒不安定が軽減しているとおっしゃってくださる方は多いです。
③情緒不安定を治すための改善方法
なんだかわからないイライラや不安感をそのまま放っておくと「うつ病」や「不安症」といった心の病に進行してしまうことがあります。
そのためにも、何がきっかけで気持ちが塞ぎ込んでいるのか、原因を特定するための3つのステップで、根本的な原因を探っていきましょう。
情緒不安定を治すためのステップ1
身体的な問題が原因かどうか確認する。何かしらの身体的な病気にかかっていると、その病気が原因となって、疲れやすかったり気分が落ち込むなどの症状が出ることがあります。
また、脳の病気であれば温厚な性格だった人が怒りっぽくなることも。不調を感じたらかかりつけの病院などで血液検査などをしてもらうことをおすすめします。
情緒不安定を治すためのステップ2
精神的な問題が原因かどう確認してみる。朝、出勤の時間が迫っているのに起きられないとします。なぜ起きられないのかを考えてみましょう。
連日の残業や接待で慢性的な睡眠不足だったり、毎日、嫌な上司にガミガミ言われうんざりしていたり、過度なストレスを感じている原因を探ることで、負担を減らすための対処法を見つけていくことができます。
情緒不安定を治すためのステップ3
生活習慣を見直す。ストレスからくる暴飲暴食や、タバコ、慢性的な睡眠不足など、生活習慣の乱れから自律神経のバランスを崩すと情緒不安定になるため、規則正しい生活を心がけることは精神的安定の一歩と言えます。
④情緒不安定を放置する3つのリスク
先述してきたように、イライラする、わけもなく不安、気持ちがふさぎ込みやすい。そういった不調をそのまま放置した場合、心の病に進行してしまうことがあります。症状が悪化し進行した場合に起こり得るリスクをお話ししておきますね。
4-1:情緒が乱れて仕事ができなくなる
集中力が低下してくるため、仕事のパフォーマンスが明らかに落ち、お客様との約束の日を間違えたり、書類の誤字脱字が増えたりといったケアレスミスが目立つようになります。
すると失敗ばかりする自分に嫌気がさし、自己肯定感がどんどん低くなります。また、朝が起きられないという状態が続き、仕事を休むことも増えてしまいます。
4-2:情緒不安定が原因で恋愛や家庭内が崩壊する
嫌われたらどうしようという不安から、恋人や家族に対しての執着がひどくなったり、抑えられないイライラをぶつけて喧嘩になることも増えます。
他にも、洗濯機を回したのに干すのを忘れた、買い物にいったのに何を買うか忘れた、などの物忘れが酷くなってしまう。という症状により、パートナーや家族との関係に亀裂が生じ、コミュニケーションがうまく取れなくなることがあります。
4-3:情緒不安定が悪化して精神病棟への入院
情緒不安定が悪化すると、うまくご飯が食べられないといった栄養不足や脱水症状を起こすことがあるため、精神病棟へ入院するケースがあります。また、自殺願望が強く、興奮状態が続くといった症状や、まともなコミュニケーションが取れない場合も、回復するまで入院となります。
⑤情緒不安定を早く治すと人生が変わります
ここまで不安が増すようなお話しをたくさんしてきましたが、今度は、ちょっとした不調も悪化するまで放置せず、原因を知って早めに対処していくことで得られるメリットをお話しします。
5-1:安定して過ごすことができる
なんだかわからない不安に襲われて、猜疑心が強くなったりイライラする日々はとても辛いですよね。
どうして情緒不安定になったのか、どうしたら改善するのか、本当は自分はどうしたいのかといった本質を知ると、不安の波が小さくなり、精神的にとても安定してきます。
5-2:周りの人から信用してもらえる
相手の顔色を伺って不安に思っていた人や、わけもわからず当たり散らしていた人も、人との関わり方を見つめ直すことで、対人関係がスムーズになります。精神的に安定してくると周りとの関係や物事を冷静に見ることができてくるので、仕事のミスが減ったり、大きな仕事も任されるようになります。
5-3:自分自身が生きることが楽になる
自分のことを知り、どういう場面で不安定になりやすいかという傾向を知ると、最近イライラしはじめたからちょっと休もう。といった調整ができるようになります。
また、嫌な上司に対しても、スルースキルを身につけたり対処ができるようになるため、思い悩んでいたことに悩まなくなります。
なんだかわからない不安に押しつぶされる生活から解放され、生きることがとても楽になります。そして何より自分のことが好きになるのです。
⑥ひとりで情緒不安定を治すよりもカウンセリングがお勧め
カウンセリングとは、専門の知識や技術を持ったカウンセラーと相談者とのお話しの中で、困っていることの解決に向けてサポートしていくもののことです。
カウンセリングと聞くと、心の病になった人が受けるものと思われがちですが、そんなことはありません。健康な人でも、自分が本当は何を望んでいるのか、どんな風に歩んでいきたいのかといった、頭と心の整理をしたいときにも活用できるのでおすすめです。
また、情緒不安定になっている時は、相手に嫌われたくない、迷惑をかけたくない、恥ずかしいといった気持ちから、身近な人に相談できずに悪化してしまうケースが多いのですが、カウンセリングの場合は程よい距離感であるため、気楽に胸の内を吐き出せる利点があります。
6-1:カウンセリングは精神疾患になってからでは遅い
精神疾患を例えていうと、風邪をこじらせて肺炎になってしまったような状態なので、適切な治療をしなければなりません。また、思考を自分でコントロールできないため、カウンセリングだけではなく薬物療法との併用や、ご家族など身近な人の協力などが必要になってきます。
そうすると回復にとても時間がかかるので、酷くなる前に早めに受診というのは、体の病気だけではなく心の病気も同じなのです。
6-2:カウンセリングを受けると人生の選択肢が広がる
ウサギがライオンになりたいといってもなれないように、人それぞれ、持って生まれた性質や気質といった特徴があります。カウンセリングをすることで、自分の特徴を知り、それとどんな風に付き合っていくかによって、気持ちが安定し、人生の選択肢が広がります。
6-3:感情のコントロールを学ぶことができる
どんな人でも感情があります。感情のコントロールができなくなるという状態は、湧き出てきた心の声を無理に抑えつけようとしたり、無かったことにすることによって、限界に達した感情が暴走してしまうことです。
怒りっぽかったり、すぐに不安になる人は、なぜそうなるのかという傾向を知ることでどう対処していけばいいかを、カウンセリングによって知ることができます。
⑦情緒不安定の治して本来のあなたを取り戻しませんか?
これまで情緒不安定についてお話ししてきましたが、どんなに立派に見える人でも、いつも笑っている明るい人でも、誰もが持っている不安定な感情の波があります。
この波をいかに穏やかにするかは、まず、何が原因かを知り、自分にどんな感情があるのかを知ることが大切です。
その上で、対処しきれない場合や、頭がごちゃごちゃしてどうしたらいいかわからない時は、悪化する前に、かかりつけの病院やカウンセリングを活用してみましょう。心の声は嘘をつきません。
心の声に正直でいることはありのままの自分を受け入れ、好きでいられることです。どうか苦しいといっている自分の声に耳を傾けて大切にしてあげてくださいね。もしもカウンセリングに興味を持った方は、弊社のカウンセリングの特徴を読んでみてください。
公認心理師:吉田澄央
ライフファクトリー東京代表。公認心理師でもあり催眠療法士として活躍。「改善するカウンセリング」の実現のために、今まで1万回を超える精神科診療に同席。現役の心理師でありながら日平均来院数1000人以上の精神科医院にて、患者相談部門の事務長を任される経歴を持つ精神科医療分野のプロフェッショナル。
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