「疲れているのに、寝付けない。このままでは明日の仕事にも影響が出る…!」
まじめなあなたは、そんな自分を責めたり、あせったり…ひとりで苦しい気持ちを抱えこんでしまっていませんか?
暗い夜に眠れずにいると、あのときああすればよかった、もっとこういえばよかった、などと、小さなことがなんだか苦しく思い出されて、ますます寝付けなくなってしまいますよね。
周りに心配をかけまいとついがんばってしまうあなただからこそ、こころやからだにたくさんのつらさを背負いこんでしまっているように思います。
でも、安心してください。眠れない状況を改善する方法は、あります。あなたの苦しい症状が少しでも早く改善するよう、お力になりたくて、簡単なチェックリストから少しだけ詳しい内容までまとめてみました。
目次
①そもそも「不眠」とはなんでしょうか?
(A)夜、ベッドに入り、眠ろうとしても、なかなか寝付けない
(B)寝ている途中で何度も目を覚ましてしまう
(C)まだ起きる時間ではないのに、朝早く目覚めてしまって二度寝もできない
(D)夢を見るなど、眠りが浅いのか、早い時間から寝ても疲れが取れない
このなかに、あなたの眠れない状況は入っていましたか?
実は、この4つは、すべて「不眠」の症状です。上にあげたなかで、ひとつでも当てはまれば、不眠と言えます。人によってはいくつも当てはまってしまう場合もあります。
専門的な言葉で申しますと、
(A)の、眠りたいときに寝付けないことを入眠障害
(B)の、眠っている途中で目を覚ましてしまうことを中途覚醒
(C)のように、意図しているより早く目が覚めてしまうことを早期覚醒
(D)の、眠りが浅くてぐっすりできないことを熟眠覚醒
と呼んでいます。
不安定な経済状況が続く、現代の日本。この状況下で、5人に1人が何らかの眠りの悩みを抱えているといわれています。
特に、40代、50代と、社会的な責任が増えていく年齢になればなるほど、不眠の方の割合は増えていき、悩んでいる方が大変多いのです。参考:e-ヘルスネット 厚生労働省
② あなたの不眠の状況がわかる、10問のセルフチェック
現在のあなた自身の不眠がどんな状況か、次のリストでセルフチェックしてみましょう。
Q1:夜勤やシフト勤務などで、毎日決まった時間に就寝、起床ができない不規則な環境である
Q2:忙しい毎日を送っており、一日15分以上の運動となるとなかなかできない
Q3:責任を感じる仕事をかかえている
Q4:最近、身の回りにショックなできごとや人間関係のトラブルなどがあり、悩んでいる
Q5:仕事やプライベートで、ストレスを感じる状況が続いてしまっている
Q6:将来のことを考えて不安になってあれこれ考えてしまうことがある
Q7:自分に自信を持つことができず、つい思い悩んでしまう
Q8:近頃、引越しや転職などで、生活環境が大きく変わった
Q9:痛みやかゆみ、息苦しさなど、慢性的な体の不調を持っている
Q10:お薬や嗜好品(お酒やコーヒー、お茶など)を日ごろからとる習慣がある
チェックの結果はいかがでしたか?
上の質問に「YES」と当てはまるものがあったら、それがあなたの不眠を引き起こす原因となっている可能性、大です!内容をすこしだけ詳しく掘り下げてみましょう。
③ あなたの不眠の原因はどこにある?
肩こりのときに病院に行くと、湿布を処方されることがありますね。湿布を貼ると、痛みが和らぎ、少し楽に過ごすことができます。
しかし、その方の肩こりの根本的な原因を考えて改善しなければ、結局のところ肩こりから解放されることはありません。
不眠も同じです。原因は人によってそれぞれ違いますので、あなたにとってどういった原因で不眠が起きているのかを認識することが、まずは重要になってきます。不眠の原因となるものには大きく分けて5つあります。
3-1:不眠症の原因がからだにあるケース
「風邪で鼻が詰まって、夜中に眠れなくなってしまった」 なんて経験が、どなたでも一度くらいはあるかもしれません。
通常の風邪などでしたら安静や適切な治療があれば数日中に徐々に治っていくことが多いでしょう。
しかし、
・痛みをともなう疾患をお持ちの方(外傷や、関節リウマチなど)
・かゆみをともなう疾患をお持ちの方(湿疹や、蕁麻疹など)
・喘息発作や頻尿、花粉症などをお持ちの方
・その他、慢性的な症状に悩まされている方
長期に渡ってからだの症状から眠りを邪魔されてしまうことがあります。
3-2:不眠症の原因が薬にあるケース
お薬は、つらい症状を和らげたり、病気を改善したりと良い効果を求めて使うものです。しかし、体質や体調によっては、作用が思ったより強く出すぎてしまうことや、副作用が出てしまうこともあります。
この影響で不眠を起こしてしまうこともあるのです。
代表的なものとして、抗がん剤、自律神経や中枢神経に働くお薬、またステロイドなどがあります。
3-3:不眠症の原因が嗜好品にあるケース
ホッと一息つきたいときや、仕事で集中したいとき、コーヒーを飲みたくなること、ありますよね。仕事からやっと解放されたときのビール、これもたまりません。わかりすぎるほどわかります!
が、不眠を改善するためには、夜八時以降のカフェインやアルコールはよろしくないようです。また、ニコチンも不眠の要因となってしまいますので、喫煙の習慣がある方も要注意です。
3-4:不眠症の原因がこころにあるケース
からだはクタクタに疲れていて今すぐでも眠りたいのに、不安な気持ちがわきおこって、ぐっすり眠れない…
明日の試験のことが気になって息苦しいし、目がさえてしまう…
これは、悩みや心配などのストレスを抱えたこころが、体を緊張状態にさせてしまうことで、リラックスした眠りを邪魔してしまうのです。
こころとからだは、切っても切り離せない密接なものです。
不安による不眠は、現代を生きる方には多かれ少なかれ経験があるかもしれませんが、長い間続いてしまっては影響も甚大です。
3-5:不眠の原因が生活環境であるケース
よい眠りに入るためには、光や音などの環境を整えることも大切です。
例えば、眠りにつく前にスマートフォンの画面や動画を見ているなど…私もよくやってしまいます。これは脳が興奮してリラックスできないので、良質な眠りを妨げることがあります。
また、受験勉強や職場の環境のために生活リズムが乱れることが続くと、これも不眠の原因となってしまいます。
以上、5つをまとめてみました。あなたに当てはまる原因はいくつ見つかりましたか?
④不眠を放置することのリスク
つらく長い夜を過ごさねばならない不眠。
早く解放されたい!今夜こそぐっすり朝まで眠りたい!不眠が続けば続くほど、切実にそう思いますよね。
不眠が長く続いてしまうと、お仕事など日常の生活や人間関係によくない影響が出て、悩みを深める方もいらっしゃると思います。
こんな症状、思い当たりませんか?
・集中力の低下
普段はしないようなイライラや、逆に気持ちが落ち込むことで、良い仕事ができなくなってしまいます
・思考力の低下
考えがまとまらず、意欲が出ません。普段はしないようなうっかりミスを起こして周りに迷惑をかけてしまった、なんてこと、ありませんか
・体調不良
めまい、頭痛、食欲低下、動悸など体調の変化となってあらわれてきますし、免疫力も下がります
・一日中だるさが抜けない
眠りで解消できなかった疲れやダメージは、日に日にたまっていき、回復には相応の時間や休息が必要になります
上のようなことが重なると、気持ちが不安定になって周りとぎくしゃくし、うまくいかなくなることがあります。
そのうえ、まじめなあなたは自分のことを必要以上に責めるなど、あせりから悪循環な方向へいってしまうことも…
どれも、本来の生き生きしたあなたの姿と少し離れてしまっているように思います。
「たかが不眠!現代人ならみんなこんなものだろう!」
「忙しい中で自分だけ甘えてはいられない!」
「このくらいは辛抱しよう!」
などと放置してしまうことはとても危険です。
軽度のうちに対処するほうが、安らかな眠りに楽に早く近づけるからです。それに何より、不眠を我慢し続けることで様々な病気につながってしまう方もいらっしゃるのです。
たとえば、
・自律神経失調症
不規則な生活リズムや強いストレスで自律神経のバランスが乱れ、めまいや頭痛をはじめとする様々な体調不良を引き起こします。
自律神経は全身の器官をコントロールしているので、ここのバランスをくずすと全身のあらゆる症状を引き起こすことがあり、症状は多岐にわたります。既に、自律神経失調症で悩んでいる方は、自律神経失調症の原因と今日からできるセルフケアの方法を読んでいただくと、対策が分かります。
・うつ病
強いストレスにさらされ、うまく対処できなくなると、脳のエネルギー全体が低下してきます。意欲が起きず、徐々に身体の症状も重く出てきます。
現代では15人に1人が生涯のうち一度はかかるといわれており、決して珍しい病気ではありません。が、学校や会社に行けなくなるなど、重い症状に苦しむ方もたくさんいらっしゃいます。もしかして、うつ病ではないか?とご不安な方は、もしかしてうつ病?と思った時に読んでほしい症状まとめを書きましたので、読んでみてください。
・統合失調症
気持ちや行動が頭の中で混乱し、まとまらなくなります。
気力や活力が出なくなったり、妄想や幻想、とくに幻聴を引き起こしたりして、人間関係や生活に障害が出ます。統合失調症についての症状を知りたい方は、統合失調症の症状と原因をお読みください。
このような病気があげられます。病気の話になって、なんだか少し重たく怖いイメージになってしまいましたが、不眠は、どの原因からくるものでも、こころやからだからのSOS第一歩なんじゃないでしょうか。
いつもがんばりすぎるほどがんばっているあなたにこそ、眠りについてなにか問題を感じた時点で、いったん歩みをとめて、ご自身の状況を振り返り、自分をいたわるタイミングを持っていただきたい、と心から思います。
それと、もうひとつ。不眠続きのこの苦しい状況を何度も繰り返したくはないですよね。生活の支障まで出てしまっていたらなおさらです。
一時的に不眠から解放されても、繰り返してしまえば悩みは深まり、病気につながるリスクも高まってしまいます。
ですから、不眠の原因のもとになる根っこの部分を解決し、長い目で不調全体を改善していくことも大切になってきます。
⑤不眠症の原因を特定することから始めよう
この記事では、あなたの不眠の原因探しをご一緒させていただきました。
じゃあ実際、不眠を根本的に改善していくにはどうしたらいいの?そう、さらに大切なのはここからです。
いつもいつも、大変な仕事をこなし、努力型で、エネルギッシュにがんばるあなた。そして心配ごとがあっても、自分のことはさておき、周りの人にいつも気を遣ってくれるあなたです。
でも、お願いです。不眠については、もうひとりでがんばらないでください。ためこまないでください。どうかあなたに、心地よい眠りが、一刻も早く訪れますように。次の記事に今日からできる不眠症を改善する具体的な方法をまとめました。
公認心理師:吉田澄央
ライフファクトリー東京代表。国家資格である公認心理師と産業カウンセラーの資格も保有。催眠療法の講師でもある。「改善するカウンセリング」の実現のために、今まで1万回を超える相談と向き合う。本気で相談者と向き合いアドバイスをするため弊社でも人気NO1
吉田心理師の監修:「不安障害」記事一覧
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