本当は楽しいはずの時間すら、不安がちらつき集中できない。眠りにつくまで、何度も心を囚われて鬱屈した時間を過ごす。
最初は何らかのきっかけがあって、不安に苛まれていたはずが、いつの間にか不安だけが残ってしまったなんてこともよくあります。
このため、自分が何に不安を感じているのかわからなくなってしまうなんてことも…。不安に囚われていると、ネガティブになりがちですし行動も起こしにくくなります。
自分の気持ちが沈むだけならまだしも、仕事に支障が出たり誰かを傷つけたりなんてことも起きてしまいます。ついには、人生そのものが楽しくないと錯覚してしまう…。
こんな風に不安な気持ちを抱えたまま生活するのは、とても辛いですし何より楽しくないですよね。
どうやったらこの不安から逃れられるのか、きっとみなさんその方法を模索されていると思います。
不安を解消し、元の自分を取り戻すためにはいくつかの方法があります。
・まずは不安の正体を明らかにすること。
・そして、不安としっかり向き合うこと。
・さらに、不安を解消していく方法。
今回はこれらをご紹介していき、今抱えている不安を取り除いていきましょう。
目次
①8割の人が知らない不安の正体はどこにある?
不安を感じることそのものは悪いことではありません。どうしてもネガティブなイメージがつきやすい「不安」という言葉。
しかし、不安は人間が誕生してからずっと抱えているものです。まずは、不安=悪と思ってしまう心理を解消するところから始めていきましょう。
1-1:自分を守ために、不安がある
不安を感じることにより、人は自分を守ることをしています。わたしたち人間は、どんな時も自分を守ろうとする機能が本能として備わっています。
これを「防衛機制」と言います。俗に、自己防衛本能と言うこともあります。人は、自分にとってどうしようもなく受け入れられないことや、危機を感じた時に不安や恐怖を感じるようになっていて、それが防衛機制を発動するスイッチとなっているのです。
スイッチが入ると、無意識のうちに自分を守るための行動を取るようになっています。
例えば、コロナ禍での「自粛警察」というのも一種の防衛機制です。コロナに対して恐怖や不安を感じる人が、自分を守るために他者を攻撃するという行動を起こした結果です。
本来はこのような攻撃的な行動だけではありませんが、無意識に攻撃的になってしまう人は実は多いのです。
このようにして、人は不安や恐怖を感じることで自分を守ろうとする生き物なのです。
1-2:失敗したらどうしようが不安に繋がる
不安は、この先の未来を案じておこるものです。人間の自然な感情です。
・明日大事な商談がある、失敗したらどうしよう。
・本当に上手くできるだろうか。
こんな風に不安な夜を過ごす時は誰にでもあるのではないでしょうか?改めて文字にするとわかりやすいですが、不安という気持ちは全て未来に起きることに対して生じます。
本当かな?と思う人は、具体的に不安に思っていることを書き出してみてください。まだ起きていないことに対して、不安を感じることは人間の自然なはたらきです。
後でも触れますが、この不安な気持ちが実は自分を助けてくれることさえあります。
1-3:不安の9割は起こらないと知らない
これから起こることに対して生じる不安という気持ちは、実はその9割がただの取り越し苦労であるということがアメリカの研究でわかっています。
どういうことかというと、不安に感じていることが現実になる確率は非常に低くて、ある程度は事前の準備で回避することができるのです。明日の商談が不安だという場合、何が不安なのか書き出してみるとよくわかります。
・作った資料を忘れないだろうか。
・電車が遅れたらどうしよう。
・体調が悪くなってしまったらどうしよう。
・準備したことを出し切れるだろうか。
こうして見ると、確かに事前に準備しておくことで回避できることはたくさんあります。資料はきちんとカバンに入れたかチェックすればいいですし、万が一に備えて会社にも置いておけばいいですよね。
電車の遅延が気になるならいつもより早く起きれるように早く寝ることもできます。さすが、相手の機嫌や評価だけはどうすることもできませんが、自分に関わることはしっかり準備をすることで不安を解消することができそうです。
こういった対応が難しいものというのは、全体の内の4%程度で、あとの96%はなんとかすることができると思うと少し気が楽になりませんか?
「予期不安」が起こる原因と正しい治し方を知ろう!
②不安という存在は、絶対的な悪者なのか?
これまでは、不安についての考え方を一緒に読み進めてきました。この章では、不安は本当に「悪」なのか?ということについて触れていきます。ついつい不安を消そうと頑張る方もいらっしゃいますが、不安は悪ではないということをまずは受け止めていきましょう。
2-1:不安があるから人は動く
不安感を感じない方が後々大きな荒波がやってくる。不安に囚われがちな人にとっては、「こんな気持ち無くなればいいのに!」と思うかもしれません。
しかし、不安という感情が自分を助けてくれることもあるということはしっかり知っておきましょう。
最初に言った通り、不安は自分を守るための感情です。これは、行動を起こすためのエネルギーとなったり注意が高まったりすることで、人を助けてくれます。
先ほどの商談の例のように、不安だから様々な準備をしますよね。それが、結果的に自分を助けてくれるということなのです。
2-2:不安を毛嫌いするから更に不安になる
不安=いけないものという認識によって、更に人は不安になります。不安に感じることは悪いことだと思うことで、不安な気持ちを感じている自分自身が悪いように思ってしまいます。
ここまで記事を読んでくださった皆さんならもうおわかりだと思いますが、不安を感じるのは人間の本能であり、自然な感情です。
ですから、まずは不安を感じる自分を許し、労わってあげてください。自分を守ろうと頑張っている証拠です。
2-3:不安すらもコントロールすれば無敵になれる
自分の感情を冷静に分析をすることが大切です。これから不安を解消する方法について、具体的に触れていきます。その前に、人間の感情というのは、どんなベクトルのものでも同じだということを覚えておいてください。
どんな気持ちも、乗り越えるためにはきちんと向き合う必要があります。不安を軽くするためには、その不安な気持ちと向き合う時間が必要です。
そして、客観的に分析していきます。大切なのは、自分を他者だと思って冷静に見つめるということです。
③あなたも不安にサヨナラしてみよう
不安に対しての考え方をまとめてみました。不安になってはいけない!そう思えば、思うほど更に不安になるのが私たちの心理です。
ですから、この不安に対しての考え方、捉え方を変えることにより、少しずつ不安という言葉から解放されます。とは言っても、すぐに不安を解消する方法を知りたいですよね。
次の記事に、不安についてのまとめを書きましたので、ぜひ読み進めてください。そうすると、不安から解消することができます。
不安を解消する具体的な方法
公認心理師:吉田澄央
ライフファクトリー東京代表。公認心理師でもあり催眠療法士として活躍。「改善するカウンセリング」の実現のために、今まで1万回を超える精神科診療に同席。現役の心理師でありながら日平均来院数1000人以上の精神科医院にて、患者相談部門の事務長を任される経歴を持つ精神科医療分野のプロフェッショナル。
吉田心理師の監修:「不安障害」記事一覧
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