こんにちは!心理カウンセラーの桑原です。今日は、多くの現代人が抱え日々向き合っている、劣等感や自己嫌悪について、お伝えしていきたいと思います。
いきなりですが…「あなたは、自分のことが、好きですか?」
この言葉に、どのくらいの方が、「はい」と答えるでしょうか。
では、「人生のなかで、劣等感を感じたことがありましたか?」
と聞くと、どうでしょう。
きっと、ほとんどの方が、「はい」と答えるのではないかな、と思います。
それほど人は生きている中で、この”劣等感“と向き合うのです。
わたしは心理学を学んだカウンセラーとして、この記事を執筆している訳ですが、わたし自身も劣等感が0ではありません。しかしわたしは、これらの感情とうまく付き合いながら、日常生活を過ごしています。
自分を完全に「好き」とは言い切れないし、自分に劣等感を感じるときもあるけれど、それでもわたしは人生をとても楽しく、自分らしく、生きています。
わたしはこの記事を通してみなさんに、「劣等感を“0”にしなくて良い。目指さなくても良い。」というメッセージを届けると共に、劣等感が0でもなく、自分を好きだとも言い切れないです。
それでも自分の人生をそれなりに楽しくいきている秘訣や、これらの感情との付き合い方を、心理学の視点や経験談とともにお伝えしていきたいと思います。
この記事を読み終わった後、すこしでも心が軽くなり、皆さんにとっての今後のヒントになるものが得られたら、幸いです。
①劣等感と、劣等コンプレックスとは?
そもそも劣等感とは何者なのか、皆さんは考えたことがありますか?多くの方がすこし誤った解釈をされていると思うので、劣等感とよく似た「劣等コンプレックス」についてもふれながら、ご説明させて頂きたいと思います。
1-1:劣等感とは?
劣等感とは、「他人より自分は劣っているという感情」であるのはご存じだと思いますが、これが、小さなこどもの頃から感じ、成長を促すための感情にもなっていることは、ご存じでしたか?人は、他人と比較し、劣等感を感じ、それを補うために努力したりするのです。
1-2:劣等感コンプレックスとは?
一方で、多くの方が悩む原因となっている感情が、「劣等コンプレックス」になります。このコンプレックスは、様々な感情が入り乱れて対立し、複雑な感情を抱かせます。
そして生き辛さや、人間関係の悪化にも繋がったりしてきます。ではこの劣等コンプレックスは、どこから生まれてくるのでしょう?それには、“認知のゆがみ“というものが関わってきます。
人は、それぞれの認知のゆがみを持っていているといわれています。言うなれば、それぞれのサングラスを掛けて世の中を見ているということになります。このサングラスは多数あるのですが、代表的なものをいくつかお伝えしますね。
☆決めつけ
レッテルを貼ってしまうこと
例:私には出来ない
☆誇張
何倍にも増長して認識してしまうこと
例:私はいつも失敗する
☆過度の一般化
ある一部の問題であるのに、全体の問題と思い込んでしまうこと
例:何をしてもいつも続かない。私は何をやってもダメだ
☆単純化
完璧や満点でなければ全く意味がないと思ってしまうこと
例:努力したつもりでも完璧ではなければ、それは努力出来ていなかったのだ
☆見落とし
物事の一面だけを見て他の面に気がつかないこと
例:失敗してしまった。全てが水の泡だ
☆誤った価値観
非建設的な考え方で物事を捉えること
例:私の存在価値なんてない
皆さんにはどうですか?これらのサングラスを、お持ちでしょうか。カウンセラーとして沢山の方のお悩みをお聴きする中で、「過度の一般化」や「単純化」のサングラスをよく掛けてしまう方もとても多くいらっしゃいます。とても真面目で、自分に厳しい、頑張り屋さんの方が多い印象があります。
種類だけではなく、容姿・愛情・成果など、サングラスを掛ける時も、人それそれぞれ異なります。
みなさんが日常のなかで悩まされている“劣等感”の正体が、なんとなくつかめてきたでしょうか。劣等感なのか、劣等コンプレックスなのか。自分がどんなサングラスを、どんな時に掛けているのか。なんとなく正体が分かってきたところで、その向き合い方について、ご説明していきますね。
②劣等感との向き合い方
今の時代において、自分がやっている仕事に対して、不安や葛藤を抱えて居ない人の方が少人数になっているような気がします。
「自分がやりたい事は何なのか」見つけられないことが、悪いことのように感じてしまう方も、いらっしゃるのではないでしょうか。そんな時、その気持ちを補おうと、もっともっと頑張ろうとしてはいませんか?
ですがその行動が、自分にとって、プラスになるときと、マイナスになるときがあります。そんな気持ちになったとき、まずわたしはみなさんに、自分自身にきいてほしいことがあります。それは、「いま悲しいのか、悔しいのか」
あなたの心がもし悲しみたかったのなら、思う存分、悲しんでください。悲しむ必要ない なんて思わないでください。そして、もっともっと頑張ることを、一旦お休みしてください。「あぁ、自分は、悲しみたかったんだな」と、そのまま受け止めてあげてほしいです。
誰でも常日頃から笑顔で快活には過ごせません。正の感情と負の感情がゆらゆらと動くからこそ、心も体も安定するのです。
いつでも心が元気いっぱいで、やりたい事を休まずやり続けていたら、身体の方が疲れてしまいますよね。
みなさんの心と身体にとってとても大切な、その「ゆらゆら」の動きに、たまには身を任せてみてください。
一方、あなたの心が悔しいと感じていたら、思う存分、頑張ってみてください。その劣等感が、きっとあなたを大きく成長させる、スパイスになっている瞬間です。わたしはこの時の劣等感が、スパイスとよく似ているなと、常々思います。
辛くて思わず涙が出てしまったり、汗が止まらなくなってしまったりもするけれど、料理を格段に美味しくしてくれる。甘くなったり、柔らかくなったり、風味が増したり、スパイスって本当に不思議ですよね。
悔しさを感じていたら、辛かったり痛かったり涙が出てしまうかもしれないけれど、ぜひそのスパイスを使って、自分にしか出来ない味を見つけてみてください。その先にきっと、今よりも大きく成長した自分が待っているはずです。
③劣等感との向き合う方法
「悲しいのか悔しいのか」についてそれぞれの対処方法をお伝えしましたが、上記でもお伝えした、劣等コンプレックスの原因にもなっている“認知のゆがみサングラス”を掛けてしまったとき、どうすれば良いのか。
これについては、わたしの経験談もふまえ、お伝えさせて頂きますね。わたしは10代の頃、完璧主義者でした。当時を振り返ると、何事に対しても理想が高かったなと思います。とても色が濃い「単純化」のサングラスを掛けている状態でした。
自分に厳しく、他人の評価に敏感で、判断基準が「0か100」完璧ではなかったら、それは自分にとっての努力や頑張りとして認められませんでした。
今振り返ると、なんだか尖っていますね。でも当時はこの感情に支配され、ものすごく生き辛さを感じていました。自己嫌悪感も、とても強かったです。
しかし今では当時と違い、自分の人生を楽しく、自分らしく、生きられるようになったのですが、わたしは心理学を学んだ上で、自分の中に取り入れるようになったものがあります。
①自分の気持ちの正体を把握すること
②自分の気持ちや行動を、自分自身でジャッジしないこと
③“認知のゆがみサングラス”を掛けたとき、「本当にそう?」「誰が言ったの?」と自分自身に問いかけること
①と②については、今回この記事でもご紹介させて頂きました。劣等感という感情についての正体。自分の気持ちに耳を傾け、それに素直に従うこと。ひとは正解のないものや曖昧さに、不安やストレスを感じます。
真っ暗なトンネルを彷徨い続けるよりも、たとえ遠くにあっても、少しでも出口の明かりが見えている方が、安心して歩いて行けますよね。
だからこそ、「この気持ちはどこから来るのだろう?」「どうすれば解消されるのだろう?」と考え、探し、自分なりの答えを見つけるようになりました。
そして、自分の行動や感情をジャッジしないこと。これって実は、とても難しいことなのです。ひとはそれぞれの正義を持っています。それを相手が反してきたり、自分が守れなかったりすると、怒りや悲しみなどを感じます。
「こうするべきではない」「こうしなければいけない」と、知らず知らずのうちに、頭の中で裁判をしているのです。そんなとき、「あぁ、また裁判が始まってしまったな」と思い、自分の感情を有罪か無罪かに判決しようとするのを、ぜひやめてみてください。
そして最後に、3つめについて。サングラスを掛けてしまったとき、「本当にそう?」「誰が言ったの?」と問いかけること。
わたしはこの作業が出来るようになって、格段に生きやすくなったと実感しています。なぜかというと、この問いから、世の中の規範や模範や他人の評価から自分を見るのではなく、“自分はどう思うのか”と捉えられるようになったからです。
“周りにこう思われたいから” “相手にこう思われるかもしれないから”そんな他人への期待や不安から解放されると、今よりも格段に、自己嫌悪や劣等感の重さが軽くなりますよ。ぜひ自分自身に、問いかけてみてください。
④ひとりで悩んでも解決しない時は専門家に頼ってみよう
ここまで読み、みなさんはどうでしたか?3つのポイントをお伝えしましたが、日常の中に取り入れられそうでしょうか。
わたしは最初に「この記事を読んで、すこしでも今後のヒントになれば・・」とお伝えしました。みなさんが明日から取り入れられ、それが生きやすさに繋がったら、とても嬉しいです。
そして、劣等感や自己嫌悪に対して、すこし見方は変わりましたか?もしかしたら今まで、「自己嫌悪や劣等感は自分の中から排除しよう・・!」
と、思っていたかもしれません。簡単に排除できたり、全く感じなくなる画期的な方法があったりしたら、とても良いのですけどね。もしあるのなら、わたしも知りたいです(!)
ですが実際、人の心は、それほど単純には出来てはいないのです。自分は他人より劣っていると感じ、自分に対して失望してしまうこと。
劣等感が自分の中に存在するだけで、なんとなく自分は人として、まだ完璧ではないのだと感じてしまうこと。自分でもよく分からない感情に支配され、虚無感を抱えたり、不安を感じたりすること。
劣等感と向き合うことは、とてもエネルギーを使うことであり、誰にとっても苦痛やストレスを感じるプロセスです。心も身体も多くのエネルギーを使うため、心身共に疲弊することもあります。それってとても、苦しいですよね。
でもわたしは、これらの感情が、“絶対悪”だとは思っていません。うまく付き合えるようになれば仕事や人間関係において今までのように悩むことが少なくなりますし、自分の強みにも変えられる可能性も秘めています。
あなたが他人から「劣っている」と感じる弱い部分も、同じように「劣っている」と苦しんでいるひとたちの味方になることが出来ます。
それって誰にでも出来ることではない、自己嫌悪や劣等感と日々向き合っているあなただからこそ出来る優しさであり、強みでもあるとも感じます。“0”を目指さなくても、大丈夫。
サングラスをはずして外を見てみたり、頭の中の裁判をやめてみたりしながら、排除しようとするのではなく、うまく付き合ってみてくださいね。そして、うまく付き合っていくことに不安を感じているみなさん。大丈夫です。これら劣等感などの感情を、いつでも自分で対処出来るわけではないです。
わたし自身も劣等感を感じてきたからこそ、向き合うことの苦しみや、“どうしようも無さ”が、とてもよく分かります。だからわたしは今こうして、カウンセラーという立場から、劣等感に向き合うお手伝いをしたり、暗いトンネルの中から共に出口を探したりしています。
劣等感をひとりで抱えきれなくなってしまったら。ひとりで向き合い、対処することが出来なかったら。わたしたちのようなカウンセラーや、あなたの相談にのってくれる誰かに、遠慮せず助けを求めてくださいね。きっとあなたと一緒に、トンネルの出口を見つけてくれますよ。もしも気になった方は、ライフファクトリーの公式HP をご覧ください。
公認心理師:吉田澄央
ライフファクトリー東京代表。公認心理師でもあり催眠療法士として活躍。「改善するカウンセリング」の実現のために、今まで1万回を超える精神科診療に同席。現役の心理師でありながら日平均来院数1000人以上の精神科医院にて、患者相談部門の事務長を任される経歴を持つ精神科医療分野のプロフェッショナル。
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