統合失調症とは、様々な要因により脳内の情報のやり取りがうまくいかなくなることで、感情や思考が止まらない状態が続いたり、周囲に関心を持たなくなるなど症状は様々で、主に心や思考がうまく働かない状態をいいます。
治療にはお薬の服用が必須といわれていますが、はたして本当にそうなのでしょうか?カウンセリング会社が本音のところをお伝えいたします。
目次
①統合失調症の薬は絶対に必要なのか
統合失調症の治療には、薬物療法が基本とされています。様々な症状は、脳の神経伝達物質の機能異常により現れると厚生労働省が発信をしているからです。
統合失調症は脳の病気であることを理解し、病気について正しい知識を学ぶ必要がある。
参考:厚生労働省 統合失調症
そのため、統合失調症のお薬を服用することで、その機能異常を整え落ち着かせる効果があるとわかっているとも言われています。しかし、本当にそうでしょうか?
これまでに3000件以上の精神疾患と向き合ってきた経験からすると、実際にお薬を服用しなくても統合失調症を改善している人もいれば、薬を服用しても10年、20年と統合失調症が改善しないケースもあります 。
そう考えますと、統合失調症を治すための方法の第一選択は「薬しかない」と断言することはできない と弊社では考えています。
統合失調症を改善するための根本の原因を癒していく方が薬だけの選択よりも効率的だと考えています。なぜなら、薬物療法には様々な問題があるのもまた事実です。
もしもまだ、統合失調症の症状についてよく知らない..と思う方は、統合失調症とは?具体的な症状についてで紹介をしていますので、読んでみると統合失調症への恐怖心が緩和されていくかもしれません。
2-1:統合失調症で利用されるお薬
統合失調症では、「抗精神病薬」と呼ばれるものを中心に使用されていて、脳内で過剰に働くドーパミンの働きを調整する役割があります。この抗精神病薬は、「定型抗精神病薬」と「非抗精神病薬」に分けられています。
他にも新しい薬が次々と開発をされていますが、国が運営するサイトも下記のように書いてありますので、弊社でもそれに沿ってまとめました。
抗精神病薬には大きく分けて定型抗精神病薬といわれる従来型抗精神病薬と、非定型抗精神病薬といわれる新規抗精神病薬の2種類があります。
参考:統合失調症ナビ
定型抗精神病薬
定型抗精神病薬とは、陽性症状である強い妄想や幻覚を緩和させてくれるお薬です。その一方で、陰性症状と言われるやる気のなさや1日中眠っていたい、認知機能が低下をするなどの副作用も強く出ることを問題視されています。
<よく処方されるお薬>
・ハロペリドール(セレネース)
・プロペリシアジン(ニューレプチル)
・トリフロペラジンマレイン酸塩(トリフロペラジン)
非定型抗精神病薬
陰性症状である思考停止になる、意欲が低下するなどの症状にも効果的だと言われています。従来のものと比較をすると、副作用も少ないとは言われていますが実際のところはわかりません。
<よく処方されるお薬>
・リスベリドン(リスバダール)
・オランザピン(ジプレキサ)
・アリピプラゾール(エビリファイ)
2-2: 統合失調症の薬の効果
先ほどお伝えをした統合失調症の薬についてですが、それぞれのこうかをもう少し詳しく知るとともに、統合失調症の薬以外にも一緒に出される薬について紹介をします。
多くの場合は、統合失調症以外にも、下記のお薬を処方されることが多いです。簡単にではありますが、どのお薬がどんな役割を担うのかお伝えいたします。
・抗不安薬
とても強い不安や緊張感を穏やかにします。
・抗うつ薬
どんよりとした気分を和らげ、意識を高めます。
・睡眠薬
寝つきが悪くすぐに目が覚めてしまう時など、眠れるようしてくれます。
・抗パーキンソン病薬
手足が震える、体が硬直するといった症状を緩和します。
・便秘薬
便通がよくなります。
もっと詳しく統合失調症のお薬について知りたい方は、統合失調症の薬の副作用をご存知ですか?をご覧ください。
2-3: 統合失調症の薬は効果がないのか
統合失調症の薬の効果については、毎年のように新薬も出ているため、副作用も少なく効果の期待できるものが増えてきています。
ただし、統合失調症は心の影響がとても大きい病気ですので、「お薬を飲むことで状態が悪くなるかもしれない」といった不安を強く抱いている場合、症状が悪化する こともあります。これは無意識の抵抗により、自己催眠のような状態となるためです。
もしも、様々な症状も辛いけれどお薬を飲むのも不安だという場合は、カウンセリングを受けたり、医師に不安な気持ちを伝えたりすることで、状況が改善することがあります。
ですから、統合失調症になった=すぐに薬を飲むことが必須か と言われるとそうではありません。
一番重要なことは、薬を服用することではなく状況を改善することですから、薬に対しての強い恐怖心や不信感を抱いていると薬の効果よりも副作用の方が強く出る場合が多いです。(プラシーボ効果)
③統合失調症を改善するための医師を選ぶ際のポイント
これまでお薬についてのお話しをしてきましたが、統合失調症は症状が落ち着くまでに少し時間のかかる病気です。
医師との関係性によって症状が左右されてしまう場合もあるため、自分の不安な気持ちや症状を医師に相談し適切な処置をしていくためにも、医師選びに必要な3つのポイント をお伝えします。
3-1:話を聞いてくれる
まず病院に行くと「おかげんいかがですか?」「今日はどうしましたか?」といった問診をされると思います。患者さんが何に困っていてどんな風に苦しいのか、どんな症状なのかといった状態をきちんと把握することは、改善のための大切な一歩です。
目に見えない心の症状を治療するには、治療の過程や結果がわかりにくいので、たくさん質問をして、これまでの経緯や状況をより詳細に理解しよう としてくれているか、親身にお話しを聞いてくれているかという姿勢 は、医師選びの大きなポイントと言えます。
3-2:薬の処方が日に日に増える先生は気をつけよう
上記でも記載したように、統合失調症のお薬は、抗精神病薬の他に、抗うつ薬や抗不安薬や睡眠薬などといった複数のお薬を組み合わせて処方されるのが一般的です。
しかし、副作用の相談をする度にお薬の量が増えたり、大量処方が長い期間続く場合、症状が本来の病気によるものなのか、薬の副作用によるものなのか見分けがつかなくなる ことがあるので注意が必要です。
3-3:あなたと本気で向き合ってくれているのか
あなたの質問に丁寧に答えてくれるのか、未来への希望を見出してくれるのか 、統合失調症は治らないと決めつけていない先生にしましょう。
医師と言えども万能ではありません。専門的知識も幅広く、得意分野かどうかといった違いもあります。内科の先生が外科の治療が得意かというとそうではないのと同じです。
そういった医師側の力量や専門性も医師選びには大切なポイントとなりますが、何よりもあなたの質問に丁寧に答えてくれているか、あなたの未来に対して希望を見出してくれているのかという部分も、医師選びに重要なポイントです。
正直なことを書かせていただきますと、どれだけ知識が豊富でも、あなた自身が先生に対して不信感があったり言いたいことが言えない状況になると統合失調症の改善は滞ってしまいます。
ただ優しいだけの先生が良いというわけではなく、時にはあなたのことを本気で思って注意をしてくれたり、良いところは褒めてくれる先生のもとで統合失調症をケアをすると素早い改善を見込めることができます。
④統合失調症の減薬や断薬をする時に気をつけてほしいこと
お薬を服用せずにいられるなら良いですよね。しかし、減薬や断薬というのは専門的な見解が必要なことです。
減薬で大事なことは、「症状が改善した状態のまま薬を減らしていく」ことなので、薬を減らしたり止めたりすることだけに注視してしまうと、症状がぶり返したり、かえって悪化してしまうこともあるため注意が必要なのです。
4-1:独断でやめないこと
必ず医師の判断を最優先にしてください。勝手に辞めてしまうと症状が悪化するだけでなく、本来の症状以外の問題も発生することがありますので、必ず医師に相談しましょう。
4-2:ひとりで減薬や断薬をしないこと
独断で減薬や断薬を行った場合、身体がびっくりして様々な症状が出ます。ですから、お薬の種類を減らしたり、中止しやすいタイプの薬に変えるなど、ゆっくりと焦らず状態をみながら行っていく必要があります。
ひとりで全ての辛さを抱えて、ひとりでどうにかしようとせず、医師やカウンセラーに不安な気持ちを話したり、必ずサポートをしてもらいながら薬を減らしてきましょう。
⑤第一選択を薬にするべきか否かチェックシート
お薬を服用するとなると不安になりますよね。まずは第一選択を薬にするべきかどうか、他に方法がないのかを判断するためにも、下記に当てはまるところがあるかをチェックしてみましょう。
✔️今ストレスを抱えている
✔️家族関係が円滑ではない
✔️人間関係の悩みがとても多い
✔️お米やパンが食事のメインである
✔️間食や既製品を食べることが多い
✔️自分の言いたいことを人に言えていない
✔️幼少期のころに十分な愛情をもらえていなかった
心というのはとても正直にできているため、心の苦しみが体に様々な症状を起こすことは大いにあります。もしも、この文章を読んでいるあなたが自分ひとりだけでグッと歯を食いしばっているのなら肩の力を抜いてください。もしも、他人を信じられなくて距離感がうまく掴めなくて悩んでいるのなら少しずつ距離感を学んでみませんか。
何よりも、助けてという言葉を口に出して言うことは、とても勇気のいることだと思っていませんか?先程のチェックシートで「はい」が多いほど、心理療法、カウンセリング、催眠療法を行うと改善しやすいといえます 。つまり、お薬だけに頼らなくても症状が緩和される可能性があるのです。
⑥統合失調症は環境に左右されます
統合失調症の症状は環境に左右することが非常に多いです。実際にご相談をしてくださる方の多くは食生活や家族環境、そして幼少期の頃に傷を負っている 場合が多いです。
実際に催眠療法や心理療法そして、食事や家族関係の見直し をすることにより、改善をしています。しかし、ストレスもなく、家族環境も良好そして、食生活を完璧に摂取している状況なら脳との関係性を疑うことをお勧めしています 。
⑦統合失調症の第一選択は薬だけではない
統合失調症の第一選択は、薬だけではありません。食生活を改善することで少しずつ改善をしたり、カウンセリングや催眠療法で状況を緩和することも可能です。ありとあらゆる方法がありますので、「絶対に薬しかないんだ」と思い込まずに、自分に合う心のケアを試してみる ことが大切です。
4-1:ビタミン療法
統合失調症によくみられる幻覚や妄想、無気力といった症状には、ビタミンB6やビタミンB3が不足しているといった研究データもあるため、サプリメントを使用した栄養療法を行い症状の改善をはかります。
HofferとOsmondが発表した研究によると、ナイアシンを十分な高用量で与えることにより、統合失調症を治療できる可能性があります。薬だけでなく、ナイアシン(ビタミンB3)のサプリメントを使用した栄養療法を行っているクリニックもあります。参考:ナチュメディカ
このような情報も出ていますので、ぜひ食生活を見直してみることもおすすめします。
4-2:催眠療法
あまりの苦しさから蓋をして無いことにしてしまった心の根底にある悲しみや痛みや、強く頑なに思い込んでしまった意識を、催眠療法によって素直になれたり、自分自身を客観的に見ることで、何度も辛い気持ちを抱えなくても良い ようにしていきます。もっと詳しく催眠療法について知りたい方は、催眠療法のページを読んでいただくと分かりやすいと思います。
4-3:カウンセリング
カウンセリングは、カウンセラーがあなたへ積極的にアドバイスをするだけでなく、お話しをする中で、あなた自身が自分の心の問題に対する気づきを得られるキッカケとなったり、理解を深めたり行動への勇気となる手助け となります。
統合失調症は単に脳の病気だけではなく、様々な原因が複雑に絡み合っていることが大半です。そのため、根本にある心の傷を癒すことが何よりも大切 です。
そうすることで、統合失調症を改善するだけではなく社会で何かあっても負けない強い心、そして「生きることが楽しい」と思ってもらえるようになることもカウンセリングの目的のひとつです。
⑤統合失調症の第一選択は薬だけではありません
これまで統合失調症の治療に必要なお薬の話しをしてきましたが、あなたの苦しい状況を少しでも良くするための選択肢が、お薬だけではない ということ知っていただけたでしょうか?
わりと誤解が多いのですが、精神科の外来というのは、ゆっくり時間をかけてお話しを聞いてくれるところは意外と少ないです。
「精神科なのにちっとも話をきいてくれない!」 というガッカリは、期待する気持ちが応えられないときに生まれます。一般の方がイメージする「時間をかけたカウンセリングを行っている場所」は、医療機関に近いところだと、病院に併設しているカウンセリングです。
逆に精神科でないと絶対にできないことは、検査、診断、投薬なのです。そのため、第一に投薬治療を選択する前に、じっくりと自分の状態をお話しできること 選択もおすすめですよ。
もしも、統合失調症の治し方について詳しく知りたい方は、統合失調症の治し方をまとめましたで紹介をしていますので読んでいただくと、統合失調症の選択肢を広げることができると思います。
公認心理師:吉田澄央
ライフファクトリー東京代表。公認心理師でもあり催眠療法士として活躍。「改善するカウンセリング」の実現のために、今まで1万回を超える精神科診療に同席。現役の心理師でありながら日平均来院数1000人以上の精神科医院にて、患者相談部門の事務長を任される経歴を持つ精神科医療分野のプロフェッショナル。
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