「誰かを愛して誰かを失った人は、何も失っていない人より美しい」
映画『イルマーレ』の中のセリフです。わたしがこの文章を書いている今、外は豪雨で窓に雨粒が激しく打ち付けています。
この文章を読んでいるあなたの心は今、まさにこんな感じなのかもしれないと思っています。心を燃やした恋に破れ、雨の中、ずぶ濡れで泣きそうになりながらかろうじて立っている、そんな状況ではないでしょうか。
そして、その状況は、数十年前の私自身の姿に重なります。私自身も過去に大きな失恋をし、落ち込み、何も手につかず、うつになってしまうのではないかと思った時期がります。
けれどそんな時期を乗り越え、今ではカウンセラーとして、こうしてあなたに言葉を届けることができますこれからお伝えすることを読んでいただければ、あなたも失恋で辛い気持ちが軽くなり、前へ歩いていこうという気になるはずです。
さぁ、一歩ずつ私と一緒に歩きだしましょう。
目次
①失恋がきっかけでうつ病になるって本当?
もしかするとあなたは今、失恋をしてしまいうつ病かもしれないと不安になっているかもしれません。確かに失恋がきっかけで、うつ病へと移行してしまうケースがないわけではありません。
しかし心理学の世界には「レジリエンス」(回復する力)という言葉があるように、誰もが失恋からも立ち直る力を秘めているのです。もちろん、あなたの心にもその力はあります。
病院へ行く前に、これからお伝えする自分で出来ることを実践し、その力を目覚めさせていきましょう。まずは、うつ病の特徴について詳しく説明していきますので読んでみてください。
② うつ病の特徴を知ると失恋の辛さで一時的なものか見分けれます
うつ病の症状について、心と身体の両面から説明します。どうぞ今のあなたの状況と比べてみてください。誰もが失恋をして辛いことはごく自然なことです。しかし、あまりにも状況が悪化をしていくのでしたらそれは、うつ病の可能性も十分に考えることができます。ひとつ、ひとつを紐解いてみましょう。
2-1:うつ病の時の心の状況
・理由もないのに1日中気分が落ち込んでいる
・問題を解決しても気分の落ち込みから抜け出せない
・物事の捉え方が否定的になり、自分をダメな人間と感じてしまう
さらに重症になると「死んでしまいたいほどの辛い気持ち」が現れることもあります。
2-2:身体に現れるうつ病のサイン
・食欲や性欲の減少
・不眠、もしくは逆に寝過ぎてしまう
・倦怠感
・胃の不快感、便秘や下痢
こうした心身の不調が同時に起きている場合はうつ病が疑われます。ただ、ひとつだけ注意をしていただきたいことがあるんです。
それは、「うつ状態」と「うつ病」は異なるということです。うつ状態とは、先ほどお伝えをした箇条書きの部分が、いわゆる「うつ状態」です。
参考:みんなのメンタルヘルス 厚生労働省
③失恋で立ち直れないのはうつ病?病院はお勧めできない3つの理由
失恋から立ち直れず、うつ病かもしれないと思っても、すぐ病院に行くのはお勧めしません。なぜなら病院に行って薬を処方されても、あなたの心と身体が元気になるとは限らないからです。
また、一度うつ病と診断されると、生命保険への加入が難しくなるといったデメリットもあります。もし休職するようなことになれば、経済的な不安も出てくるかもしれません。そうしたことを考えると、すぐに病院に行ってうつ病の診断をもらうことはお勧めできないのです。
3-1:精神安定剤が処方されて思考回路が低下する
病院で処方される精神安定薬は辛い気持ちを一時的に和らげます。しかし薬は対処療法であり、問題の根本的な解決にはなりません。何より、次にあげるような心身への副作用があります。
・判断力が低下する
・息切れやめまいがし、疲れやすくなる
・意識がはっきりせず、考えがまとまらない
このように、薬は辛い気持ちを一時的にぼやかすだけで、マイナス面もあるのです。
3-2:仕事に影響を及ぼし、社会復帰が大変になる
失恋のショックで仕事が手につかない時は、思い切って休職するのもひとつの手です。実家など落ち着ける場所でゆっくりしてもいいでしょう。しかし休職は金銭面である程度余裕がないと、お金がなくなることへの不安から、逆に精神的に追い詰められてしまうこともあります。
ですからもし休職する場合は、休職中の給料の支払いについて、事前に会社へ確認しておくと安心です。
3-3:生命保険に加入をすることが難しくなる
うつ病と診断されると、生命保険への加入のハードルが高くなってしまいます。
うつ病の場合、加入の為には「告知」という手続きで、以下の内容を正確に生命保険会社に伝える必要があります。
・過去の病歴・入院歴
・現在、服薬などの治療をしているどうか
この結果、加入できないこともあります。しかし、だからといって病歴を隠してはいけません。事実と異なる告知をしたことがわかると「告知義務違反」となり、給付金が支払われないなど、ペナルティが課せられることもあります。
<注意をしてほしいこと>
ここまで、病院に行くことには慎重になった方がいいとお伝えしてきましたが、もしあなたが今、以下のような精神状態の場合は別です。
・死にたい気持ちが強い
・自傷行為がやめられない
こうした心の症状が出ている場合は、急いで精神科や心療内科にかかることをお勧めします。こうした症状はあなたの命に関わるからです。
お伝えしてきたように、薬の投与など、あなたの健康や未来に対して多少のリスクはありますが、命に代えることはできません。もう少し詳しくうつ病について知りたい方は、うつ病とはどんな病気?かかってしまったらどうしたらいいの?で紹介をしています。どうしても失恋が辛い!うつ病の傾向を強く感じる!と思った方は読んでみてください。
④失恋で鬱かもしれない!と思うほど気持ちを緩和する3つの方法
失恋で鬱かもしれないと思った時こそ、思い切って外見のイメージチェンジをしたり、日々の食事などに気をつけることが大切です。そうした小さな変化や行動が、気持ちを前向きにさせるきっかけとなります。
また、どうしても辛い時は心理療法やカウンセリングなど、専門家の力を借りてみてください。心理療法では辛さでこわばった心がほぐれ、リラックスして本来の自分に戻ることができます。その上でカウンセリングを受け、話を聞いてもらう事で心の傷が癒され、楽になるはずです。
失恋からうつ病を防ぐためにポイント①衣食住を変化させる
なかなかそんな気分にならないかもしれませんが、失恋をした時こそ、思い切って容姿を変えてみませんか?失恋をしたら髪を切るというのは昔からよくある話ですが、これは心理学的にも効果があるのです。
しばらく会わなかった友人に久しぶりに会ったら、痩せていたり、髪型が変わっていて、随分イメージが変わった、そんな経験があなたにもあるはずです。
このように、人の感情や思い出は相手の容姿などの見た目とセットになっています。だから、見た目が変わるとその人から受けるイメージも一新されるのです。
それはあなた自身にもいえます。
今のあなたのセルフイメージ、つまり、あなたがあなた自身に感じている印象というのは「失恋してしまった悲しい私」です。それをまずは見た目から変えていきませんか?
鏡に映る自分が今までの自分と変われば、気持ちもそれに沿って自然に変わっていきます。きっと気づいたら失恋して可哀そうなあなたはどこかへ消えていることでしょう。
また、失恋した時は自暴自棄になって食事にも無頓着になりがちです。けれど、心が弱っている時こそ規則正しい食生活が大切です。つい飲み過ぎてしまった日の翌日は、朝からなんだかぐったりしていて気分も晴れない、そんな経験はありませんか。このように、人の身体と心はリンクしています。身体の不調はそのままメンタルの不調に繋がるのです。
ですから、失恋で心がダメージを受けている時ほど、意識して野菜を多く摂ったり、消化にいい物を食べたりして、身体を労わってあげましょう。身体の調子が整えば、心も次第に上向きになってくるはずです。
そうはいっても、失恋で心に余裕がない時は、こうしたこともなかなか実践する気になれないでしょう。けれど、こうした小さな行動から環境を変えていけば、思ってもみなかった新しい出会いがその先に待っているかもしれないのです。
失恋からうつ病になるのを防ぐ方法②催眠療法で失恋の傷を癒す
失恋の傷をなかったことになどできるわけがない、そう思う気持ちも分かります。けれど、催眠療法とは心の根底にある辛い思いに直接働きかけ、それを変える手助けをしてくれる治療法なのです。
今のあなたは失恋のショックで心が閉ざされている状態です。催眠療法中はリラックスした状態になり、客観的に自分を見ることができるようになります。そうすればきっと思い出すはずです。
失恋する前のあなたを?いや違います。恋をしているかどうかは関係ない、あなたがあなたらしく生きていた、その姿がどんなだったかをです。
それはちょうど、自分では平気だと思っていたのに、マッサージを受けてみると随分身体が軽くなって、その時に初めて「自分はこんなに疲れていたんだ」と気づくようなものです。そうした心の状態になると、次にお伝えするカウンセリングの効果も大きくなります。
失恋からうつ病になるのを防ぐ方法③カウンセリングを受けて心の傷を癒す
カウンセリングでは、対話を通して今あなたが抱えている心の辛さを少しずつ緩和していきます。ひとりで抱え込んだり、失恋の辛さを紛らわそうと、闇雲に多くの異性に会うのは避けましょう。
そのような時は、冷静な判断ができなくなっているからです。その結果、暴力的な人や、お金に甘い人、感情的な人など、普段ならお付き合いをしないはずの人と付き合ってしまい、余計傷つくことがあります。
ぜひ、専門的な知識を持つカウンセラーにあなたの辛さを話してみてください。
話すことで心が楽になり、もう一度あなたがあなたらしく生きていく為のヒントがきっとみつかるはずです。
⑥恋で立ち直れない、うつ病だと病院に行こう思う前にできることをしてみませんか?
人生は長い旅です。時に失恋で傷つき、前に進む気力を失い、うずくまってしまうこともあるでしょう。そんな時は、うつ病だと決めつけて病院へ行く前に、小さなできることから始めましょう。
そうした小さな行動が、心を前向きにし、再び歩き出す気力を与えてくれます。
そして、どうしても辛い時は心理療法やカウンセリングを受けてみて下さい。人生が旅であるならば、あなたが行動した分だけ、歩いた分だけ、必ず景色は変わります。
一番初めにお伝えした言葉を覚えていますか?失恋の痛みを知っているあなたは美しい。それは土砂降りの雨の中を歩き続けて、晴れた場所まで辿り着こうとするあなたの勇気と強さを称える言葉なのです。
まずは、失恋でうつ病かもしれない…と悩んだ方が乗り越えることができたライフファクトリーの特徴を読んでみませんか?
公認心理師:吉田澄央
ライフファクトリー東京代表。公認心理師でもあり催眠療法士として活躍。「改善するカウンセリング」の実現のために、今まで1万回を超える精神科診療に同席。現役の心理師でありながら日平均来院数1000人以上の精神科医院にて、患者相談部門の事務長を任される経歴を持つ精神科医療分野のプロフェッショナル。
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