何をやっても中途半端で、胸を張って得意なことを言えない。たくさん努力をしているはずなのに、結果が伴わない。そんなことを繰り返している内に、いつの間にか「自分は何をやってもダメなんだ」と思ってしまう。
何をやってもダメな自分を疎ましく思うと、挑戦する気持ちが失せたり今ある大切なものさえ見えなくなってしまったりします。そういう状態で人と関わると、不用意に傷ついたり傷つけたりしてしまうものです。
そしてそれに気づいて自己嫌悪を繰り返すのは、まさに負の連鎖。辛いですよね。しかし、本当はあなたにも得意なことがあるはずです。今は見えなくなってしまっていますが、あなたの素敵なところは必ずあります。
これが見えなくなって、ダメなところばかりに目がいってしまうのは、自己肯定感が下がっているせいでしょう。自己肯定感について知識を深め、理解することで自己肯定感を高めることができるようになります。
自己肯定感を高めるための考え方の癖を知り、本来のあなたの良さを一緒に見つめ直してみましょう。すぐには身につかないかもしれません。しかし、毎日自己肯定感を高める考え方を習慣化することで少しずつ状況も改善をしていきます。
①自己肯定感を高める2つの柱
自己肯定感という言葉を最近よく聞きます。しかし、自己肯定感とは何か?と言われると少し誇張された意味が世の中で出回っている印象があります。この章では、自己肯定感を高めるための習慣を身につける前に、自己肯定感の意味を一緒に読み進めてみましょう。
1-1:自分を肯定する基本的自尊心
自己肯定感というのは、文字通り自分を肯定する気持ちのことを表します。どんな人間にも良いところと悪いところがありますよね。
良いところも悪いところもありのまま認めるというのが、自己を肯定するということです。「自分なんて何をやってもダメなんだ」というのは、自分を否定してしまっていますよね。
これは、自己肯定感が低い状態です。基本的に人は体調や心の具合で結構自己肯定感に幅があるものです。
ですから、自己肯定感が高い時や低い時があるというのは自然なことですし、これによって自己肯定感が「上がる」「下がる」というように表現することがあります。
さて、自己肯定感はさらに、基本的自尊心と社会的自尊心に分類することができますので、それぞれを詳しく見ていきましょう。
1-2:基本的自尊心とは?
基本的自尊心というのは、自分の存在そのものを肯定することができるという気持ちです。
「生まれてきてよかった」
「生きているだけで花マル」
「自分が大切」
このように思えることを基本的自尊心と言います。基本的自尊心は、どんなことをもってしても否定することができない、誰でもこう思っていいという気持ちです。
「自分なんて…」と思っている人は、是非「理由なんかなくても自分は生きていていい」という基本的な自尊心があることを知って欲しいです。
1-3:社会の中で満たされる社会的自尊心
社会的自尊心というのは、社会生活の中で芽生える自尊心です。人と暮らしていく中で、自分にできることや人の役に立つことなどを行うことで、自分に価値があると思うことはありませんか?それが、社会的自尊心です。
日本人は、この社会的自尊心がかなり低い傾向にあります。それは、「謙遜」という文化でもあるように、自分を低く見せることが美徳とされるからです。
また、日本の学校は集団で生活する時間が長いので、集団の中での自分の立場や順位を気にしてしまいがちです。誰かと比べて自分はどうであるか、ということを気にしながら生活することで、ありのままの自分を認めづらくなっているのです。参考:自己肯定感とは – 独立行政法人 国立青少年教育振興機構
②自己肯定感を高める習慣をつけたい!よくあるQ &A
①の部分では自己肯定感について少しだけ勉強をしました。この2章ではよくある自己肯定感を高めるための習慣のQ &Aをのせていきたいと思います。
成功をすればいいのかな?お金を稼ぐと幸せになれるの?という少し哲学的そして心理的な観点から質問に答えてみました。
Q:成功すれば自己肯定感を高めることはできるのでしょうか
自己肯定感とは、成功をすることだけではなく自分自信を大切にしてあげることにも繋がります。
自己肯定感とはどのようにして高めていくものなのでしょうか?自己肯定感が下がる大きな原因の一つとして「失敗」があります。
失敗してしまった時に「自分はもうダメだ」と自分を否定するのが、自己肯定感の低い人の特徴です。自己肯定感が低くなっていると、少しの失敗や間違いに異常に囚われてしまう傾向があります。
もう終わった過去のことや、誰にでもあるような小さな失敗であっても、人生が終わったかのような絶望感を感じてしまいます。こうした人たちは自己肯定感を上げるために、成功し続けなければならないのでしょうか?
いいえ、大切なのは失敗した時に、自分をありのまま認めてあげることです。開き直りや、無理に慰める必要はありません。「失敗してしまったんだね」とありのままを受け止めましょう。
どこかに失敗した原因はあるはずですが、挑戦したことやそれまでの過程全てを否定するのは自分がかわいそうです。このように自分を少しずつ認めて大切にしてあげてください。
それが、自己肯定感を上げるための最初のステップとなります。
Q:ポジティブでいることが自己肯定感を高めることにつながるの?
何があっても自分は大丈夫!と単純に思い込んでいることが正解とは限りません。自己肯定感が高いとは、単純にポジティブであるというわけではありません。正しく自分を理解し、受け止めるということです。
大げさに言うと、例えば自分に万引きする癖があったとして、それを「悪いことだけど、これは自分だから!」と認めるのはただの開き直りです。
自分の弱さに目をつぶり、甘やかしているだけになってしまいます。このように、いつもポジティブでいれば自己肯定感が上がるというわけでもないのです。ポジティブ=正解ではないということを覚えておきましょう。
時には、ネガティブに自分の弱さを見つめることも必要です。大切なことは、どちらかに偏りすぎないということです。
③自己肯定感を高める3つの考え方と習慣
自己肯定感を高めるための習慣を知りたいです!と何度かご質問をいただいたことがあります。この章では、自己肯定感を高めるためにおすすめの3つの考え方をご紹介します。
あなた自身が、幸せになる許可を自分にあげること、幸せを自分で決めることができること、お金と幸せの関係性について学んでいきましょう。
自己肯定感を高める考え方①自分を幸せにする許可を自分に与える
自分には不幸がお似合いだと思っているうちは、幸せになることはむずかしいでしょう。なぜなら、不幸な点ばかり探す癖が日常生活に紐づいているからです。
最初にお話しした通り、「自分なんて何をやってもダメなんだ」と思って生きていくのはかなり辛いです。死ぬまでそんな気持ちで生きていくのは楽しくありませんよね。
誰もが幸せに生きていきたいと願っているはずです。幸せに生きていくためには、自己肯定感が高い方が良いでしょう。
しかし、「自分なんてどうせ幸せになれない」「自分は不幸なままでいい」と思ってしまうのなら、なかなか難しい状態です。
そのような状態では、自分の良いところを見つけるのは難しいですよね。自分の悪いところ、できないところばかりを見てしまう癖がついてしまっているのです。
自己肯定感を高める考え方②幸福の4割は自分で決めることができることを知る
お金がないから、家庭環境が悪いからで一概に決めることはできません。どんな時も気持ちの持ち方ひとつで幸せにも不幸にもなることができます。自己肯定感が低いと、自分の幸せを環境に任せる傾向があります。
人はそれぞれ、生まれた環境が違いますし親も選べません。もしかしたらものすごく不幸な生い立ちがあるのかもしれません。しかし、そういう環境だからその人は一生不幸かと言うと、そうとは言い切れません。
生まれた環境が辛くても、周りの人たちが心なくても、自分だけは自分自身を大切にすることができます。自己肯定感が低い人は、環境や周りの人たちに自分の幸福度を左右されると思ってしまいますが、本当は違います。自分の幸せは、自分で決めるものなのです。
自己肯定感を高める考え方③お金としあせの関係性を知る
お金はあるに越したことはありません。お金があれば往々のことはできます。しかしだからと言って幸せになれるかと言われるとそうではありません。幸せになるには今の状況で楽しいと感じることを見つけることが必要です。
幸せになるために、お金は必要でしょうか?もちろん、最低限の生活を送るためにお金は必要ですが、有り余るほどのお金を持つことが幸せなのでしょうか?
そういった幸せを得るために努力する人ももちろんいるでしょう。しかしそれだけが幸せの形ではありません。
なぜなら、お金を得ることを幸せとすれば、お金を得るまでの過程が辛くなる可能性が高いからです。今が幸せ!という状況を手にするためには、今楽しめることがたくさんある方がいいのです。
④自己肯定感を高める習慣をつけるワーク
自己肯定感を高める習慣をつけるには、まずはあなた自身があなたのことをよく知り、受け止めてあげることが大切です。
そうすることで、自分自身の自己肯定感を高めるだけではなく自分とは異なる意見の人も大切にすることができるようになります。早速、ノートとペンを用意して自己肯定感を高めるワークをやってみましょう。
4-1:今の自分の考え方を知ろう
先ほどお話しした通り、自己肯定感を高めるためには自分を良く知ることが大切になってきます。ここでは、自分を知るためのワークを行っていきましょう。
実際にメモを取りながら、次の4つの質問に答えていきましょう。
Qあなたにとっての自己肯定感とは?
Qこのままの自分でいいと思う時はどんな時?
Q自分のどんなところが嫌いですか?
Qどんなことをしたら嫌いから好きに変わると思いますか?
最後の質問には、うまく答えられたでしょうか?
今はまだ嫌いだと思うところを好きになるのはなかなんか難しいことですが、ゆっくり好きになっていけるように、漠然としていて構わないので好きになれる方法を考えてみましょう。
4-2:自分を縛っているものに気付こう
続いて、もう少しワークを続けていきましょう。また同じようにメモをしながら次の4つの質問に答えていってみてください。
STEP1: 〇〇してはだめだと決めているものはいくつありますか?
STEP2: それが本当に必要だと思いますか?
STEP3: その理由も書いてみましょう。
STEP4: もしも第三者なら同じように00するべきだと伝えますか?
実は、自分自身を窮屈にしているのは自分の「考え方」であるということをお分かりいただけたでしょうか?窮屈な考え方はやめてしまっていいです。
これは、誰の許可もなく自分の判断で変えて良いことだということを忘れないでください。
④自己肯定感を高める習慣をつけよう
いかがでしたでしょうか?自己肯定感を高める習慣を行うことで、少しずつ自分自身も大切にできるようになります。今日の明日、魔法のように簡単に自己肯定感を高めることは難しいかもしれません。
しかし、この文章でお伝えをした考え方、物事の捉え方、そして自己肯定感を高めるワークを通じていくうちに少しずつ改善をすることができるようになります。ぜひ、やってみてください。
もしも、ワークや自己肯定感を高める習慣だけでは、生きづらさが変わらない!劣等感が辛い!そう思った方は、カウンセリングという方法もあります。
弊社では、自己肯定感を高めるためのカウンセリングも行ってますので、素早く自己肯定感を高めたい方はライフファクトリーカウンセリングの特徴をご覧ください。
公認心理師:吉田澄央
ライフファクトリー東京代表。公認心理師でもあり催眠療法士として活躍。「改善するカウンセリング」の実現のために、今まで1万回を超える精神科診療に同席。現役の心理師でありながら日平均来院数1000人以上の精神科医院にて、患者相談部門の事務長を任される経歴を持つ精神科医療分野のプロフェッショナル。
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